暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
狂喜乱舞
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であり、アドバンテージは存在しないと、そう考えたのだろう。

 けれど、それは僕を相手にするにしてはずいぶんと甘い。

 僅かに瞬いたソードスキルのライトエフェクトの軌跡は僕のすぐ横を通過して消える。 確かに弓矢によるソードスキルを僕は殆ど知らないけど、それでも全くの初見ではないのだ。
 フロアボス戦、あるいはここまでに起きた戦いの中、僕は少なくない回数、そのソードスキルを見た。 重単発ソードスキルに該当するだろうその一撃のモーション、軌道、速度、威力、それらはもう解析済みである。 加えて仲間に当たらないように配慮されているからこそ、どこを狙うかも大体予想がついていた。

 だから避けられる。 だから避けられた。

 レイさんとヒヨリさんとに当たらないよう放たれた一撃を回避した僕は、そのままティルネルさんに向かって一歩踏み込む。 レイさんとヒヨリさんを今は無視。 まずはティルネルさんを潰す。
 ひたすら鍛え上げてきた敏捷値を使っての疾走。 スキルの補正も手伝って、ティルネルさんとの間合いはぐんぐんと縮まっていく。 が、単純なスピードではヒヨリさんに分があるらしい。 軽やかな足音を響かせて僕とティルネルさんとの間にヒヨリさんが割り込んできた。 それと同時にティルネルさんの硬直が解け、再び矢を番えると、今度は上空に向けて矢を放つ。
 恐らくはこのままこの軌道を描いて僕を穿つことになるだろうそのソードスキルを見て、僕は思わず笑ってしまう。

 「あはっ」

 一歩踏み込んでヒヨリさんとの間合いを潰す。
 今まで僕の体勢が崩れているタイミングでしか接敵できなかったヒヨリさんと、これでようやく対峙できたのだ。 このチャンスは逃さない。

 「これでーー」

 呟きつつ、ヒヨリさんに向かって手を伸ばす。
 そこで反応できたのは僕の狙いに気がついたからではなく、ただ勘が働いたからだろう。

 「ーーチェック」

 咄嗟のバックステップで逃げようとするヒヨリさんの防具に指がかかる。
 ……色々と誤解されると困るので先に言っておくけど、決してそこを狙ったわけではない。 狙ったわけではなく、胸部を防護する軽金属鎧の縁に指がかかった瞬間、なんとも形容しがたい柔らかな物体に触れてしまったけど、本当に故意ではないのだ。 いやもう、本当に。

 思春期全開のパニックに見舞われている一部の思考とは裏腹に、身体は一切の無駄なく動く。
 かかった指に無理矢理力を込め、思いっきり引き寄せると同時に身体を捻って僕とヒヨリさんとの立ち位置を反転させてから手を離す。 視界の端で驚愕に目を見開いたレイさんがヒヨリさんが衝突するのを確認しながら、ティルネルさんを攻撃の対象に設定した。

 「くっ!」

 短く息を吐いて腰の片手剣を抜こうと
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