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幻影の旋律
狂喜乱舞
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プレイヤーであればリーナと同様の手段を以って《心渡り》を破れるのかもしれない。
けど、ヒヨリさんは違う。
アマリのように僕以外を見ていないなんてことはないし、失礼な話しだけど指揮官の才能があるようにも思えない。
つまり、今までの2人とは違う手段で《心渡り》を破った、と言うことだ。 そして、アマリやリーナとの最大にして明確な差異は、ヒヨリさんが僕の味方ではない、と言うことだ。
危険。
あまりに危険。
少なくとも僕やアマリにとって危険。
サラマンダー戦で感じた危機感は最早見過ごせるレベルを超えた。 敵になる前に潰してしまおうと、殺すまでせずとも徹底的に痛めつけてトラウマを刻もうと、僕はそこまで考えた。
考えて、けれどそこで思い至る。
ヒヨリさんはクーネさんの友達だ。
2人の間合いを見る限り、かなり親しいことは間違いない。 そんなヒヨリさんを徹底的に痛めつければ、クーネさんとの間に、延いてはクーネさんたちとの間に溝ができるかもしれない。 僕はそれだけを嫌い、思い留まった。
なのに……
「……まあ、自業自得なんだけどさ」
「戦闘中に考え事なんて、ずいぶん余裕だ、ねっ!」
レイさんの少し苛立った声での刺突を避けつつ僕は苦笑いを浮かべる。
確かに今は戦闘中であり、しかも相手は手練れが3人だ。 あまり意識を外していると負けてしまうだろう。 クーネさんとのあれこれはこれが終わってから考えればいい。
フッと息を吐いて僕は集中を一段階上げる。
「さて……」
トンと軽やかな踏み込みでレイさんとの距離を詰める。 が、そこはさすがのレイさん。 瞬時にバックステップで距離を置きつつ、こちらの足を狙って横薙ぎに槍を振るう。
「うげ……」
僅かに足を止めた僕の隙をまるで見逃さないタイミングで矢(しかも毒付きだろう)が飛んできて、それを避けるとヒヨリさんの高速剣技が牙を剥く。 かと言って防御すればギリギリの間合いからレイさんが槍を突き込んでくるのだから本当に堪らない。
こんな応酬も既に8回目だ。
恐らく、と言うか間違いなくクーネさんからの指示だろう。 作戦会議の時にこの状況まで予想していたのか、その采配は的確すぎる。
現状で残っているメンバーのHPはそこまで削れていない。
僕のHPが9割強。 ヒヨリさんは無傷。 ティルネルさんも無傷。 レイさんだけは7割を切ってはいるけど、僕が一瞬後退したり動きを止めたりしている隙にポーションを飲んでいるようで、今もじわじわと回復している。 この辺りが1対3と言う変則的なデュエルの弊害だろう。
レイさんがリーチの長さにものを言わせた攻撃で僕の体勢を崩し、その隙をティルネルさんとヒヨリさんが確実かつ慎重に突
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