暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
狂鬼乱舞
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あんなに見え見えで走ってくる人を見逃すなんてクーちゃんらしくないよ? はっ、もしかして具合悪いの?」
 「見え見え……?」
 「うんっ! ボカーンってなってから一直線で走ってきてたよ」

 それは、その言葉はつまり……。

 「ヒヨリちゃん……まさか、フォラス君の動きが見えていたの?」

 ありえないと思いながらの問いにヒヨリは弾ける笑顔で頷いた。

 これで状況は決定する。
 どう言う理屈かわからないが、ヒヨリは渡っている最中のフォラスが見えていたのだ。 クーネが知る限り今まで誰も破れなかったフォラスの絶技を、たったの一度で破って見せたのだ。

 「ふ、ふふ……」

 どうやって、と疑問を挟もうとしたクーネの耳に上擦った笑声が届く。

 「ふふ……あはははははははははははははははははははははっ!」

 ゾッと、空気が凍った錯覚。
 周囲を歪めるかのような狂気がフォラスから迸り、やがてそれは収斂した。

 「いやはや驚いたよ。 まさか《心渡り》が効かない相手がリーナとアマリ以外にいるなんて、さ。 ふふ、素敵すぎて吐き気がするよ」

 けれど、それは狂気が霧散したからではない。
 膨大な狂気が全て、フォラスの小柄な身体に収まっただけのことだ。

 「やっぱりあなたは僕にとって危険な存在みたいだね」
 「ーーーーっ、ヒヨリちゃん!」
 「ほえ?」
 「逃げーーーー」

 て、とは言えなかった。
 膨大な狂気と共にフォラスが恐ろしい速度で戦場を駆ける。 狙いは完全にヒヨリに向けられ、狂気の瞳は僅かたりとも揺るがない。 クーネは自他共に認めるフォラスの友人だが、この瞬間に限って言えばそれすらも頭にはなかった。

 ヒヨリが殺されてしまう。

 ただそれだけの思考に囚われたクーネがヒヨリを突き飛ばした。
 少しでもヒヨリを遠くに、この狂人の触れられないところに逃がすために。

 「クーネ!」「クーちゃん!」「リーダー!」

 しかし、3人から飛んできた忠告の声はハッキリとクーネを指し示していた。 リンが、ヒヨリが、ニオが、それぞれクーネに注意を促す。

 が、それすらも遅すぎた。

 紫紺の何かがクーネの腕を喰い千切り、ゾンッと言う聞いてはいけない音をクーネは聞く。
 見ればヒヨリを突き飛ばすために伸ばした右腕は肘から下が消失し、自身のHPが一瞬で4割まで削られた。 瞬間、クーネの眼前と宙空に敗北を報せるメッセージが現れた。

 「なに、が……」
 「ふふ……」

 呆然と呟いたクーネの譫言をフォラスが笑う。 少しだけ悲しそうに、それでもいつもの笑顔(ポーカーフェイス)にその感情を隠して、フォラスは笑った。

 「ーーーーっ!」

 クーネはことここに至っ
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