暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
狂気乱舞
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る。
目の前でニヤニヤと、本人曰くニコニコと笑うフォラスを見て、そしてクーネはひとつ息を吸った。
錬れるだけの策は練った。 打てるだけの手は打った。 ならば、後はなるようになるだけだと、フォラスと同様に思考を締めたクーネの前で、その決意を嘲笑うかのように
悪魔
(
フォラス
)
が動く。
ユラユラと。 ユラユラと。
そして
悪鬼
(
アマリ
)
が嗤う。
狂的に、
狂々
(
あっはぁ
)
と嗤う。
どうあっても逃げられない戦いの開始まで後5秒。
フォラスが1歩踏み出した。
4秒。
警戒したクーネたちが身構え……
3秒。
アマリが斧を振りかぶり……
2秒。
フォラスがポーチからひとつの小瓶を取り出し……
1秒。
クーネたち全員が警戒のランクを最大まで引き上げ……
爆音と衝撃波がデュエル開始を報せる閃光さえも吹き飛ばす。 同時にフォラスの姿が完全に消えた。
「ーーーー!」
クーネの指示は爆音に塗り潰されて誰にも届かない。 直後に響く軽い金属音が数箇所から届くが、そこを見ても誰もいない。 あるのはフォラスが愛用しているピックだけ。
しまったと思う間もなく、トンと軽やかな着地音をクーネは聞いた。 その音をクーネが聞けたのは《心渡り》を何度も見てきたから、ではない。 単純にクーネが渡る対象ではなかったからだ。
《心渡り》はそもそも対個人向けの技であり、その対象以外の《意識の空白》を渡ることも可能だが、その精度は落ちるらしい。 現に渡る対象であったであろう
テ
(
・
)
ィ
(
・
)
ル
(
・
)
ネ
(
・
)
ル
(
・
)
は背後に降り立ったフォラスに気づいていない。
「まずは1人……」
そんな楽しそうに笑う悪魔の囁きをクーネは確かに聞いた。
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