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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
ラスボス現る
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言わないであげてね」
思わず呟いた感嘆にクーネからやんわりと釘を刺され、リンは素直に頷いた。
「……それにしても、だ。 ソードスキルが一切通用しないとしても、そしてあいつにはあの毒があるとしても、だからと言ってそこまで滅茶苦茶な数字にはならないんじゃないか?」
「そうね。 1番の問題は、だから《心渡り》になるのかしら」
「《心渡り》?」
「ええ、《心渡り》。 本人の言を借りるなら、いわゆるミスディレクションよ。 相手の隙……フォラス君はこれを《意識の空白》って言っていたけど、相手の隙を突いて視覚からも聴覚からも意識からさえも完全に消える技。 発動されれば捉えることはできないわ。 気がつけば目の前に、あるいは背後に現れて、それでお終い。 言ってしまえば不意打ちの技と」
「それは……」
「そうだよ。 あの時アマリが使ったあれさね」
リンは心渡りを見ている。 見えてはいなかったが、それでもそれを知っていた。
「いや、まさかアマリまであれを使えるとは思わなかったから驚いたよ。 夫婦だからってそこまで似るもんかね」
「ちょっと待って、リゼル。 アマリちゃんが心渡りを使ったの?」
「ああ。 と言っても渡った距離はフォラスの足元にも及ばなかったし、精度も本家には劣ってたさ。 アタイでなんとか見えてたから、警戒してれば問題ないはずさね」
ゾッと、リンは今日何度目になるかもわからない寒気を覚える。
クーネとリゼルとの会話を聞けば、フォラスの心渡りはアマリが使用したそれよりも遥かに高性能な代物なのだろう。 間近で体験し、殺されかけたリンからすれば、それは絶望を誘うに十分すぎる情報だった。
「……勝てるのか?」
「まあ、負けても命を取られるわけじゃないもの。 そこまで恐れることはないわ。 ただ、このまま負けるのも癪なのよね……」
まずは勝って、それから訂正させないと、と小声で漏らしたクーネの言は理解できなかったが、それでも既に参戦を決めた身だ。 ここで逃げるわけにもいかないだろう。 ましてこれまでの会話で一向に発言しようとしないヒヨリとティルネルをあんな危険人物と戦わせておいて自分は高みの見物など、そんな真似はリンにできるはずもない。
「ええ、だから、勝てるための方策を練りましょう」
指揮官の言葉にリンは無言で頷いた。
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