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幻影の旋律
咎人の最期
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言えば、ここからが本番と言っても差し支えはないだろう。 強化具合は今まで以上だろうし、それこそどうしようもないほど強化される可能性だってある。
さあ、ここからだ。
スウと小さく息を吸って気合を入れ直した僕たちの眼前で噴煙が晴れる。
そこにいたのは先ほどまでのケクロプスとは比べ物にならないほど変容した異形だった。
魔剣による侵食は右半身全体を覆い、顔の半分も隠れてしまっている。 背に生えていたナニカは消え去ったものの、右腕の肥大化は遂に身の丈すら超え、それだけ別の個体になったような様相だ。 初対面した際には矍鑠と笑い、人を見下した傲慢な瞳からは最早生命の息吹を感じられない。
ズルズルと、ヌラヌラと、ドクドクと、グズグズと、不規則に胎動する触手状のソレは不気味に鳴動を繰り返し、そこにケクロプスの理性は完全に残っていなかった。
「ーーーーっ」
僕はどうして悔しいのだろう?
ケクロプスでありながらケクロプス以外のモノに成り果てたソレを見て、僕は思わず歯噛みしてしまう。
「……どう、して……」
「フォラスくん?」
「どうして、あなたはそんな道を選んだ……」
ギリリと音が響く。
「あなたであればもっと違う道を選べたはずなのに、どうして……」
隣に誰かが降り立ったのか、トンと小さな音が聞こえる。
「龍皇が生きている内に戦いを挑めばよかったのに……」
すぐそばからガシャリと重厚な金属がぶつかり合う音が届く。
「そうすれば、こんなことにはならなかったはずなのに……」
タンタンタンとこちらに駆け寄る足音が来る。
「勝敗がどうであれ、結果がどうであれ、あなたがそんな無様な姿を晒すことはなかっただろうし……」
タタタンと軽やかな足音が近付く。
「そんな苦しい思いをすることはなかったはずなのに……」
スッと僕の背後に誰かが立った音が控えめに主張する。
「こんな無意味な戦いをする必要もなかったはずなのに……」
コツコツコツとあくまで冷静な足音が転がる。
「……それがあなたの望みか、ケクロプス! あなたの復讐はこんな終わり方でいいのか!」
ポフっと、誰かの手が僕の頭に乗る。
「そんな魔剣如きに呑まれるほど、あなたの復讐は軽いものだったのか!」
ギュッと、誰かが僕の腕を抱く。
「答えろ! ケクロプス!」
そして、そして、そして……
ピシリと言う小さな音が終わりを告げる。
「ガ……ガガッ……カカカ、かかっ、かっか、小僧が、言いよるわ……」
絶え絶えで弱々しい声が聞こえ、次いでバシャンと何かが弾ける音が全ての終わりを告げる。
「かかっ、よもや人間
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