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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
戦慄を誘う魔剣
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るよ、本当に。 で、敵と認めてどうするのさ?」
行動パターンの変更を警戒して後退する面々を尻目に僕とケクロプスは他愛ない話しで時間を潰す。 この先に起こるだろうあれこれを警戒してはいるけど、それでも話しかけられて無視するなんて無礼、良い子の僕としてはできないのである。 まあ、全く以って白々しい限りで、クーネさん辺りから『フォラス君が良い子なら大抵の人は良い子になるわね』なんて言う突っ込みを頂戴しそうだけど。
「決まっておろう。 敵であるなら踏み砕く。 それだけじゃよ」
「へえ、それは奇遇だね。 僕も敵は残らず踏み砕く主義でね。 もちろん、あなたのことも踏み砕くよ、お爺ちゃん」
「かかっ、やれるものならやってみよ」
そこでようやく行動パターンの変更が決まったのか、ケクロプスが持つ血色の魔剣が一層妖しく瞬いた。 ケクロプスから片時も目を離さず見守る僕たちの前で、その変化は割と早く起こる。
魔剣を持つ右腕がなんとも形容し難い音と隆起を伴って変貌する。 さながら魔剣から触手でも生えたかのように血色のナニカがケクロプスの右腕を覆い、一回り以上も肥大化したのだ。 それに応じてか、魔剣自身もその刀身を伸ばし、ドクンと気味悪く鳴動する。
「どう見る?」
端的かつ的確な問いはリンさん。
あの変化が一体どのような種類なのかと聞いているけど、どうせリンさんもある程度の予測はしているだろう。 故に僕が返す答えも無味乾燥としたものだ。
「多分、火力上昇じゃないかな? 予想してた218パターンの内では最も可能性が高かった変化だね」
「全ては予想の範囲内か……」
「王道過ぎて反吐が出るけどね」
「だが、対策は簡単だ、だろう?」
「ごもっとも」
「まずはニオが接敵! それからフォラス君も前に出て頂戴! 後のメンバーは様子見に徹するわよ!」
僕とリンさんの無駄話はクーネさんの指示で終了となる。
火力上昇であるなら対応はニオちゃんが適任だし、この手のお仕事に僕が向いていることは明確だ。 さすがはクーネさんと適当な賛辞を胸中で呟きながら、僕は双剣を鞘に戻してストレージから雪丸を呼び出した。
「だそうだ」
「クーネさんも人使いが荒いよね。 過重労働手当とか出るかな?」
「出るわけあるか」
「ですよねー、っと。 じゃあリンさん。 警戒は任せたよ」
ポンとリンさんの肩を叩いて僕は走り出す。
背中に受ける視線はむしろ僕をこそ警戒しているようだ。 先ほどのヒヨリさんに対して抱いていた黒い思惑を見透かしているのだろう、きっと。
アマリが悪意に敏感なように、リンさんは
相棒
(
ヒヨリさん
)
に向けられる悪意に敏感なようだ。 全く以って虐め甲斐があって、僕としては楽しい限りである。
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