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幻影の旋律
それぞれの戦い
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しい現状で、ノームとサラマンダーが強化されていないわけがない。 ノームには2人、サラマンダーには5人もの戦力を割いているのだから僕たちほどに苦戦していないはずだけど、仲間のこととなるとそんな計算も吹き飛んでしまうようだ。 全く以ってお優しい限りである。
「リンさん。 クーネさんからの指示に反する提案があるんだけど、どうする?」
「俺も今、お前に提案しようと思っていたところだ」
「気が合うね。 じゃあ、肉壁は任せたよ」
「……他に言いようはなかったのか?」
「残念だけどそこまで語彙は豊富じゃなくてね、っと、ほら、1名様追加だよ」
「ちっ……」
緊張感のない僕の声に対してか、あるいは鉄火場に飛び込んでこようとしているシルフに対してか、リンさんは苦い舌打ちを響かせる。
そんなリンさんの口元目掛けて封を切った特製ポーションを放ると、それだけで僕の意図を察してくれたのかウンディーネの爪を捌きながら口に咥えて飲み下す。 HP回復に加えて5秒間で最大HPの13%を回復させる高性能ポーションの恩恵を受けたリンさんは、多少のダメージを覚悟でシルフに肉薄した。
左右の手に握られた短剣が凄まじい速度を以ってリンさんの身体を刻むけど、致命傷になりかねない箇所に絞って防御をすることでそこまで大きなダメージはもらっていない。 いくらポーションの自動回復とスキルによる自動回復とが重複している状況だとは言え即座にそれを実行できる度胸はさすがの一言に尽きる。 その様はまさに肉壁だろう。
「さて……」
リンさんばかりにかっこいいところを攫われるわけにもいかないし、そろそろ僕も本気を出そうかな。
ニコリと笑みを浮かべて逆手に持った雪丸を掲げ、切っ先をリンさんに足止めされているシルフへと向ける。 ウンディーネもシルフも意識をリンさんに集中させているので、僕もまた邪魔を気にしないで意識を集中することができる。
(風はなし)
(視界良好)
(攻撃パターンの解析終了)
(行動パターンの解析終了)
(回避パターンの解析終了)
(後はタイミングだけ)
(3)
(2)
(1)
(ーーーー今っ!)
「リンさんっ!」
溜め込んでいた力の解放と同時に僕は声を張り上げた。
普通の人相手では難しすぎる要求を、けれどリンさんならば実行してしまうだろうと信じて……
「そこから12cm右に飛んで!」
僕の絶大な敏捷値となけなしの筋力値によって放たれた雪丸の投擲と、その進路を知らせる短く単純でありながら瞬時に反応するには足りない指示とが同時になされ、そしてーー
「ーーーーっ!」
「じぁっ??」
ーー進路を開けたリンさんの身体スレスレを通過して、シルフの身
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