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幻影の旋律
開戦の狼煙
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底攻撃主義のアマリとのペアで対応する。
四天王最強のサラマンダーをクーネさんとリゼルさんとレイさん、そこに加えてヒヨリさんとティルネルさんで早急に片付ける。
スピードよりも伸縮自在の爪を持つトリッキーな戦法で戦うウンディーネは、その手の対応が最も得意なリンさんが足止めして、他のチームが自分たちの敵を倒し次第順次合流する予定だ。
で、残ったシルフの対応は正直な話し、僕しかできないだろう。 何しろ奴は飛ぶのだ。 このメンバー、と言うよりも恐らくはアインクラッドで最も空中戦に長けている《疾空》スキル持ちの僕が適任なのだ。
この作戦をクーネさんが提案した時、僕は少なからず衝撃を受けた。
クーネさんは安全性を最優先する。
誰も死なないように。 それを大前提にして高効率の作戦を立てるのがクーネさんのスタイルだ。 実際、その采配は適材適所と言う他なく、安全面だけを見れば文句のつけようがない。
けれど、安全性を最優先にするが故に効率を下げてしまうことも間々あるのも事実。 それを責めるつもりはないし、デスゲームたるSAOでは仕方がないことだとも思う。
だけど、この作戦はクーネ自身が言っていたように、僕とリンさんにかなりの負担を強いるものだ。
中ボスクラスのモンスターとは言え、それを単身で足止めするなんて普通のプレイヤーには無謀すぎる作戦だろう。 少なくともクーネさんらしくはない。
それでも彼女は微妙な苦笑いでこの作戦を告げた。
『足止めはリン君の十八番でしょう』と。 『フォラス君なら単騎でも遅れを取らないでしょう』と。 どこか呆れたような笑みでクーネさんは言った。
クーネさんは僕たちが単独でどうにかできると確信したのだろう。
安全性を最優先して高効率の作戦を。
この作戦は、だからクーネさんの信念を曲げたものではないのだ。 僕たちならできると、そう確信したからこそ、一見無茶にも見える作戦を提示したのだ。
そして、それはまさにその通りだ。
リンさんであれば足止めに集中している限り絶対に負けないし、僕であれば空中戦で高々中ボス1体に遅れは取らない。
だったらその信頼に答えよう。
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