暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
お人好しとの談笑
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常に高い。
 索敵使用不可。 パーティーの強制分断。 ボスのレベルと強度。
 どれを取っても最前線以上に悪辣な難易度のここを舞台にしているのだ。 リンさんたちのクエストが高難易度であることは言うまでもない。 そしてそれは、そのクエストに再挑戦できない可能性が大いにあると言うことに他ならない。
 だと言うのに、リンさんは平然とクエストの破棄を申し出て、ティルネルさんまでそれを支持している。 ヒヨリさんに関しては、そもそも状況を理解しているのかが微妙だけど、それでもリンさんの決定に逆らうつもりはないらしい。

 「お前たちが受けているクエストの詳細は知らないが、少なくとも俺はこのクエストから降りる。 そちらのルートに従おう」
 「……正気?」
 「正気も正気だ」
 「理由を聞かせてもらえるかな?」

 僕が受けているクエストの詳細は何も語っていない。 クエストに拘っている理由も『約束』とだけしか言っていない。 だと言うのに、自分たちが受けているクエストを平然と破棄すると言うこの人たちは、一体どう言うつもりなのだろう?
 お人好しの雰囲気があるティルネルさんと、そもそもクエストの重要性を理解していない風のヒヨリさんがそれを受け入れる理由もわからなくはない。 けど、リンさんは違う。
 クエスト攻略に血道を上げているリンさんが、高々共通の知り合いがいる程度の仲である僕にクエストを譲る理由が全くわからない。
 ヒヨリさんたちを助けたことのお礼? クーネさんたちに義理立てして? 譲るだの譲らないだのと言う話しが面倒だから? 元々そのクエストに乗り気ではない?

 全くわからない理由を問うてみると、答えはとてもシンプルかつ予想外のものだった。

 「約束だと言ったな。 約束は守るべきだろう?」
 「……えっと、それだけ?」
 「ああ。 もちろん、ヒヨリたちを助けてくれた礼の意味もあるし、クーネたちに普段から世話になっているからその返礼と言う意味もある。 このまま話しが長引くのが面倒だと思っているのも確かだ。 正直な話し、あまりクエストに乗り気じゃなかったてのもあるしな。 けど、それらを差し引いても約束したって言うなら俺たちが退くべきだろう?」

 捲し立てられたあれやこれやの理由はどうにも後付けくさい。

 約束。
 僕がヴェルンドさんとした約束を破らせないためだけに退くと、そう言っているのだろう。

 常に余裕を持ち、合理的かつ効率的な選択をする人。
 色々な人から聞いて、それから実際に会ってみて抱いていたリンさんのそんな人物像に、僕はひとつの項目を書き加える。

 《実はお人好し》








 「リンさんはさ、結婚してるプレイヤー2人パーティーだけで受けられるクエストがこの層にあるって話し
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