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幻影の旋律
再会と抱擁
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これは推測になるけど、アマリがオレンジ化しているのはこのお兄さんを攻撃したからだろう。 全力の攻撃だったら既にこの世にいないはずなので、恐らくは何かしらの理由で触れようとしたお兄さんを突き飛ばした、と言う線が濃厚だ。
そしてそうなった場合、アマリを止める簡単な方法は《僕の友人である》と嘘をつくことだ。 それを知っているリゼルさんかレイさんがそう嘘を吐いたのだろう。
嘘。
人に興味を示さないアマリは、しかし人の悪意や害意には敏感だ。 だから当然、騙そうと言う悪意も簡単に見破れるけど、そこに僕の友人が絡めばその限りではない。
もっとも、僕の友人が言ったからこそ効果があるだけで、そうでない人が言えば僅かたりとも信じないし、そもそもアマリが信じているのはリゼルさんやレイさん本人ではなく、《僕の友人である》リゼルさんやレイさんなのだ。
やれやれと内心で首を振っていると、遠くから数人が走る足音が聞こえてきた。
そこでようやくクーネさんたちを放置してきたことを思い出した僕は、この後に待っているだろう《お話し》に肩を竦めて苦笑する。
「それで、フォラス君。 何か言うことはあるかしら?」
追いついてきたクーネさんは仲間たちとの再会の挨拶を終えて僕にそう笑いかけてきた。 その表情は綺麗な微笑だけど、背後に黒いオーラが噴出しているように見えるのは、果たして気のせいだろうか?
まあ、暫定とは言えパーティーメンバーを放置してきた僕に全面的な非があるので、ここで抵抗するつもりはない。 別にクーネさんの微笑に屈したわけではないとここに記しておこう。
「ごめんなさい」
「……まあいいわ。 あなたの中の優先事項はいつだってアマリちゃんだものね」
はあ、とこれ見よがしにため息を吐いたクーネさんはそれで気が晴れたのか、あるいは諦めたのか、黒いオーラを引っ込めてようやく普通に苦笑いを浮かべてくれる。
「それにしても、ようやく合流できたわね」
「ん、そうだね。 こうして見ると結構な大所帯だけど」
「フォラス君とアマリちゃんを含めて9人。 こうも多いと狭い通路に苦労するけれど、それでもボスとの戦いは随分と楽になるわ」
「あれ、僕たちの同行は決定事項なの?」
「当然です。 あなたたちのカーソルはオレンジ。 万が一他のプレイヤーに見られたら面倒なことになるでしょう?」
「あー、確かにそうだね」
僕と僕にひっついたままのアマリを見ての言葉に納得させられてしまう。
僕とアマリは現在、カーソルの色がオレンジだ。 こんな状況で他のプレイヤーと遭遇しようものならあらぬ誤解をされかねない。 攻略組のフォラスとアマリは実は犯罪者、なんて噂が出回ったらさすがに面倒
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