暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
10秒の攻防
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ゴーレムからすれば正面に陣取るレイもまた、正確無慈悲な一撃を以って左足を貫いていた。
 それを確認したリンは、()()()()()()叫んだ。

 「あっはぁ!」

 それを待ち望んでいたのか、一切のタイムラグのない笑声がリンの耳朶を打つ。
 低威力かつ行動阻害系のデバフを付与する攻撃でゴーレムの動きを封じていたリゼルとレイが、笑声に弾かれたかのように大きく飛び退き、そして……

 世界が轟音と噴煙とに包まれた。

 指揮や作戦立案は領分ではないが、元々頭の切れる頭脳派であり実戦派でもあるリンが立てた作戦は至極単純だった。
 リゼルが先頭になって飛び込み、ターゲットされた直後に隠蔽スキルを発動。 リゼルの姿を敵が見失っているうちにレイが攻撃し、退いたところをリンが追撃。 動きが止まった敵をリゼルとレイの同時攻撃でその場に縛り、アマリの爆裂によってトドメ。
 あるいはリゼルやレイが所属するギルドのリーダーであればもう少し確実性のある作戦を立てられるのだろうが、最速でボスを屠るにはこれ以上の作戦が思いつかなかった。

 穴だらけの作戦に文句も言わずに付き合ってくれて、そして完遂してくれた友人たちに感謝しつつ桜色の狂気が着弾した地点を睨んでいたリンの目の前で、やがて噴煙が晴れる。
 そこにいたのは、愉悦と恍惚とに震え、うっとりと笑う天使が1人。

 3人がボス部屋に雪崩れ込んだ直後、隠蔽スキルを発動したアマリは有り余る筋力値にものを言わせて壁を登り、ボコボコとした天井を掴んでゴーレムの真上に移動していた。 それからリンの合図を聞くや否や落下を開始。 それと同時に口に咥えていた《ディオ・モルティーギ》を両手に持ち替え、力一杯に振り下ろしたのだ。 しかも、ソードスキル込みで。
 そして着弾と同時に発動した《爆裂》は、まだ2本と半分以上も残っていたゴーレムのHPを完全に喰らい尽くし、ただの一撃で殺してみせたと、言葉にすればそんなところだ。

 「まさか本当に一撃とはな……」

 ポリゴン片すら吹き飛ばす勢いの一撃に戦慄したリンは、勝利に歓喜してアマリに駆け寄るリゼルとレイを余所に今日何度目になるかもわからないため息を吐いて天を仰いだ。
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