暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
黒の土人形
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ゴーレムに突撃したのだ。

 ここまではレイやリゼルの予想通りの事態ではあったが、そこで誰もにとっての予想外が起こった。

 声にならない咆哮と共に振り下ろした《ディオ・モルティーギ》の一撃も、分厚い刃が地面に触れた瞬間に巻き起こる周囲を喰らい尽くす《爆裂》の衝撃波も、そのゴーレムに僅かのダメージすら与えられなかったのだ。

 アマリの筋力値は攻略組のトップクラスどころか、五指に入るほど高い。 それに加えて、とあるクエストの報酬であるレア素材をたっぷり使って強化したディオ・モルティーギの性能は火力と重量とに特化している。
 そんなアマリの一撃の火力は言うまでもないだろう。
 にも関わらず、ゴーレムはノーダメージ。

 何も防御が異様に硬いわけではない。
 アマリの一撃を前に生半可な防御は役に立たないし、どれだけ硬かろうとノーダメージで凌ぎ切るなんて絶対にできないだろう。 それはSAOで最硬度を誇る《神聖剣》の使い手、ヒースクリフでさえだ。
 ならば、ゴーレムがノーダメージでいる理由はただひとつ。

 アマリの一撃を悠々と躱し、爆裂の範囲外まで後退した。

 筋力値を徹底して上げていると言うことは、敏捷値を切り捨てていると同義だ。
 それは当然の代償。 どちらかを取ればどちらかを捨てることになる。 それが嫌ならどちらもそこそこで我慢するしかないのだが、アマリはそれをしなかった。
 何故なら、圏外に出る時は必ずフォラスがいたから。 フォラスがいなければ圏外に出ないから。

 「あっーーーーーーはぁ!」

 奇形のゴーレムに接近して、ディオ・モルティーギを振り上げて、振り下ろす。
 それだけの動作が致命的に遅く、奇形のゴーレムは攻撃範囲外に逃れてしまう。 先ほどからそれの繰り返しだ。

 誤解を正しておくと、確かにアマリは筋力値特化型のプレイヤーだが、そもそものレベルが他のプレイヤーに比べて高い。 レベルアップの際に得られるステータスボーナスを2割しか敏捷値に回していないとは言え、基礎ポイントだけでも十分な値になる。 故に、並のバランス型とほぼ同程度の敏捷値を有しているのだ。 一般的な尺度に合わせれば決して遅くはない。
 だが、奇形のゴーレムのステータスは、そんなアマリの《そこそこ速い》程度の攻撃には絶対に当たらない領域まで鍛えられている。

 フォラスのような敏捷値特化型の更に上。 《敏捷値一極型》
 筋力値を完全に切り捨てたそのステータスタイプは、アマリにとってあまりにも相性が悪い。

 「う……ばー!」

 視認できるギリギリのスピードで動く奇形のゴーレムに接近され、反応できない内に攻撃を喰らう。 反撃に出れば、それが形をなす前に攻撃範囲外に逃げられる。
 実に嫌な繰り返しになっているが、幸
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ