暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
全てを破壊し尽くす暴力
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るけど、僕の攻撃はまだ終わらない。
 そこからもう一度跳ぶ。 今度は二度斬りつけた鼻頭に両足を揃えたドロップキックを見舞い、その衝撃で距離を取りつつ空中で逆さまになった体勢のまま、雪丸の柄尻を持って横に振るった。
 この時点で6連撃。 それでもまだ桜色の輝きは消えていない。
 雪丸を振った勢いを利用して体勢を整えた僕は空中に着地(表現がおかしいけど気にしない)すると、グッと身を沈めて、次の瞬間にはジルに再度の突撃を仕掛ける。
 僕の身の丈ほどもある大きな顔を支える野太い首の横をすり抜けると同時に斬り払い、ジルの後方に抜ける。 そして、仕上げの一撃は、振り返り状に限界まで反らした上体を戻す勢いでの袈裟斬り。

 《薙刀》と《体術》、それから《疾空》までを習得してようやく使えるそれは、僕が使用可能なソードスキルの中で最大火力を有する、必殺の8連撃。
 名を《八重桜》

 高火力の八重桜を使えば、当然のように僕は硬直に囚われる。 最大火力の代償は最長硬直。
 絶対に逆らえないシステムの縛めをその身に受けながら、僕は笑った。

 直後に視界に映った、ジルの頭上を舞う8本の試験管。
 言葉では表現不可能なほど妖しい色彩の液体が詰まった試験管の全てを、更に上空から飛来した8本の矢が貫き、そしてその矢が全てジルの頭部に、あるいは肩に突き刺さる。

 矢自体は大したダメージを与えていない。 けれど、ジルの身体は大きく揺らいだ。 そう。 最初に遭遇した時のヒヨリさんのように……

 それは麻痺。
 僕とティルネルさんと言う、アインクラッド中で最も組んではいけないペアが協力して生み出した毒による麻痺。

 八重桜の直前に斬り砕いた小瓶に詰まっていたのは、高確率で《レベル8の麻痺毒》を発生させる悪夢の猛毒。
 上空より飛来した矢によって貫かれた試験管に詰まっていたのは、《レベル8の麻痺毒》と《レベル7のダメージ毒》を同時に発生させる凶悪な猛毒。
 それらがたっぷり付着したそれぞれの凶器に何度も傷つけられたジルは、ボスクラスのモンスターが保有する毒物耐性ですら対応仕切れずに麻痺したのだ。

 グラリと揺らいだジルだけど、そのHPはまだ僅かに残っている。

 それでも、僕は仕留めきれなかったことを嘆かない。 なぜなら、このメンバーの中で最高の火力を持った一撃を準備している幼女が、僕の眼下で待ち受けているのだから……

 「う、おぉおおおおおぉぉぉぉぉぉっ??」

 何度か使っていた《威嚇》の時とは比べものにならないほど気合の篭った雄叫び。
 普段の気弱で怯え症な彼女が出しているとは思えないほど猛々しい咆哮の直後に打ち出されるのは、全てを破壊し尽くす絶対の暴力。

 ズンッ、と言う踏み込みの音が上空にいる僕にまで届いた。
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