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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
全てを破壊し尽くす暴力
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味な一撃は薙刀ソードスキルの中でも最速かつ高威力。 限界まで捻った身体から繰り出される梅色の一撃は遠心力を追加して、音もなくジルの背に横一文字を刻む。 短くない硬直が解けると、僕は再び空中を足場にして跳んだ。
空中戦であれば味方を攻撃に巻き込む心配がないので、心置きなく雪丸を振れる。 軽やかな着地音でジルの肩に降り立った僕は、真横からその野太い首を一閃。 反撃が届く前にまた宙空に身を躍らせ、何もない空間を足場にして縦横無尽に跳び回る。
眼下ではクーネさんとヒヨリさんが弾けさせるソードスキルの光芒が煌めき、遠方から飛来するティルネルさんの矢がどうやら弱点らしい喉元を抉り、続く反撃をニオちゃんが涙目になりながらも防ぎ、宙空を跳び回る僕が肩や首を執拗に斬る。
余裕はあるけど油断はしない。 1本目のHPバーを完全に削ったところでみんながそれぞれ大きく跳躍して距離を取った。
HPバーを1本削ると攻撃パターンが変化するのはお約束なので、それに対応するためのセオリーだ。
全員が手早く後退を完了したと同時にジルが咆哮。
瞬間、実にグロテスクな音と共にジルの背から新たな腕が伸びる。 その数は2本。 これでジルの腕は計4本になったわけだけど、そこまでの脅威は感じない。
「ねえ、フォラスくん。 あれって私が知ってる狼男さんと全然違うよ?」
「いやー、僕もあんな狼男は知らないよ。 とりあえず、手数が単純に倍だから気をつけてね」
「はーい」
たまたま隣にいたヒヨリさんと短く言葉を交わして、腕の増えたジルに向かって突撃。 この辺りは事前に頂戴していたクーネさんからの指示だ。
今いるメンバーの中では僕が最も高い回避能力を持っているので、それは妥当な指示だろう。 つまり、実際に攻撃を避けながらパターンを割り出してこい、と言うあれである。 そして、パターンをある程度見た後、他の4人が攻撃に打って出ることになっている。
それからは戦闘と言うより作業に近い。
僕がその身を囮にして割り出した攻撃パターンを元にクーネさんが作戦を指示。 それを確実に全うしながらジルのHPを削り、瞬く間に2本目も吹き飛ばして3本目も半分まで喰らった。
「ヴォオォアアアアァァ!」
ここでおそらく最後の攻撃パターン変更。
耳を劈く大音声の咆哮は僕らの耳朶を打ち、これまでよりも更に異形へと変化する。
HPバー1本目で腕が4本に。 2本で腕が6本になったジルの背に、新たなそれが生える。
「ねえねえ、フォラスくん。 やっぱりあれ、私の知ってる狼男さんじゃないよ」
「まさか狼男の特性にあんなものまであるのかしら?」
「いやいや、あれはさすがにないと思うよ。 あそこまでいったらもう、狼男じゃないね、うん」
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