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幻影の旋律
久方ぶりのパーティープレイ
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様の条件でジル自身がボスに《変身》するか、あるいは……
「まあ、どうなろうと僕がやることは変わらないけど、ねっ」
言いつつ背後から忍び寄って斬り上げ。 次いで、自分から更に距離を詰めて体術スキルを発動。
システムアシストによって加速された左手によるフック気味の掌底はジルをノックバックさせる。
パーティー戦である以上、薙刀による広範囲攻撃は使えない。 僕との連携に慣れているアマリであれば問題なく振り回すところだけど、僕との共闘が初めてのヒヨリさんがいるのできちんと自重しよう。 巻き添えにしてしまうのはさすがに気が引ける。
硬直が解けると同時にバックステップでジルの攻撃範囲から逃れつつ、僕はため息を吐いた。
雪丸を自由に振り回せないのはやっぱりストレスだ。 もう目的は果たしたし、このままジルをクーネさんたちに押し付けてさっさと別行動でもしようかな、なんて悪い考えが頭をよぎった瞬間、それは起こった。
「グルァアアアアアッ!」
更に加えられたクーネさんとヒヨリさんの追撃を受けてHPが1割を切ったところで、ジルが天を仰いで咆哮を上げる。 そして、振り上げた両腕を振り下ろすとーー
「うわーお」
ーー轟音を響かせてジルの足元が爆ぜた。
途端に立ち上る噴煙は、どことなくアマリの《爆裂》を思い起こさせる。
「んー、ビンゴ、かな?」
噴煙に紛れて見えなくなったジルを睨むようにして僕は呟く。
立ち上った噴煙がすぐに収まらないのは、あの中で《変身》しているからだろう。 試しに手近な石を拾い上げて投げると、それは噴煙に触れる直前に発生した紫色の障壁に邪魔されてしまう。
「……フォラス君」
「うん、予想通りだったみたい。 あの噴煙自体が破壊不能オブジェクト扱いだから、あれが晴れたらボス戦になりそうだね」
「フォラス君ってもしかして予知能力者なのかしら?」
「まさか。 僕は数ある可能性を精査してるだけだよ」
クーネさんと合流した僕は、適当な会話で場を和ませつつティルネルさんの元へ向かう。 見ればヒヨリさんとニオちゃんもそれぞれ後退していた。
ボス戦になるとすれば、それは間違いなく初見のモンスターになるので後退して様子を見る、と言うのがクーネさんから出されていた厳命だ。 今更その命令に背く理由もない。
ティルネルさんの元に集合したメンバーに、クーネさんは再び指示を飛ばす。
「基本的なフォーメーションはさっきと同じよ。 ただし序盤は様子見を最優先にして、深追いしないように。 いいわね?」
「は、はい!」と、やや怯えながらも気合を迸らせるニオちゃん。
「はーい」と、あくまでマイペースなヒヨリさん。
「バックアップはお任せください」と
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