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幻影の旋律
久方ぶりのパーティープレイ
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るし、腰に剣を佩いているとは言え、ティルネルさんの基本スタイルは後方支援。 ボス攻略でたまに見かける剣の腕前は確かなものではあるけど、少なくとも近接戦闘がメインではないはず。 ジルのように剣よりも更に近い爪と拳の間合いに持ち込まれたら危険だ。
だけど、僕はそれを不安に思ったりはしない。 ティルネルさんも同様なのか、至極落ち着いた表情で矢を引き絞る。
そう。 不安はなかった。
何故ならあそこにはーー
「さ、させません」
ーー攻略組のトップ、《聖騎士》と肩を並べる絶対的な壁がいるのだから。
気弱な性格でありながら、バカでかい上にクソ重い盾を構えたニオちゃんが、突貫の勢いを上乗せしたジルさんの拳を余裕で防いでみせる。
瞬間、身を躍らせるのは白銀と純白。
ヒヨリさんがその有り余る敏捷値でジルを剣の間合いに収めると、細剣技の基本《リニアー》を叩き込む。
先の戦闘では本来のポジションから外れていたために精彩を欠いていた技が冴え、容赦なくジルを穿つ。
疾走で加速した勢いの上乗せ以外にも、あの美麗で華奢な細剣の性能だろう。 元々の火力が低い細剣技の中でも殊更に低い《リニアー》だと言うのに、それはとてつもない火力を孕んでいた。
そこで怯んだ隙に今度はクーネさん。
鞘に剣を納めたまますれ違い、墨の如き黒を灯した剣が刹那の間に3連の軌跡をジルの身に刻む。 片手剣技の中では異色の居合系ソードスキル《スラッシュバウト》だ。
直後に舞った桜色の燐光が周囲を舞う様は美しいけど、その威力はやはり恐ろしい。
綺麗な花には棘がある。
意味は違うけどそんなことを思った。
「うおぉおおおおおっ??」
それだけの攻撃を喰らえば、当然ターゲットを2人のどちらかに移す。 けれど、それを許すほどニオちゃんは抜けてない。
高々と盾を掲げ、普段のどこか気弱な雰囲気を吹き飛ばす勢いでの咆哮を上げるニオちゃん。
タンク必須のヘイト変動スキル《
威嚇
(
ハウル
)
》。 盾装備系のスキルからの派生スキルは、確かな効果を持ってジルのターゲットをニオちゃん自身に向けさせる。
そして振り出される強烈な正拳突きを、しかし、ニオちゃんは完璧な盾捌きで無効化した。
この時点で既にジルのHPは4割を切っている。
通常モンスターであればかなり強い部類だけど、ボスクラスにしては弱い。 そんな中途半端なステータスに危惧していた嫌な予感が急速に頭を擡げる。
この空間は確実にボス部屋だ。
ならば、ボスが出現して然るべきで、だけど敵はジル・ガルニエのみ。 ここまで新たな敵が現れる様子はない。
つまり、現状で考えられる可能性はみっつ。
ジルのHP減少あるいは全損を出現トリガーにしてボスが現れるか、同
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