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幻影の旋律
久方ぶりのパーティープレイ
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ティルネルさんから逸らすことに成功したようで、ジルは野獣の咆哮と共に僕を睥睨する。 普段であれば挑発混じりに話しかけて追撃する僕だけど、今回はオカン、もといクーネさんの指示があるのでそのまま転身して駆け出した。
もちろん背後からジルの足音が迫ってきているけど、今のところ問題はーー
タンッ
ーー訂正、問題が発生した。
地面を蹴る軽やかな音が後ろから聞こえたと思えば、僕と短剣との間にジルが着地する。
どうやら持っているらしい《軽業》スキルでブーストされた跳躍で、僕を軽々と飛び越えたようだ。 先ほどの僕に対する仕返しのように。
「うげ……」
疾走の勢いで急激な方向転換が叶わない僕は、ジルが振るった爪での横薙ぎに声を漏らしながらも笑い、スライディングの要領でその一撃を躱しつつ短い脚の股下をすり抜ける。 と、同時に今度はライトエフェクトを伴わない矢がジルの身を穿っていた。
「さっすがー」
頼れるバックアップには届かない賛辞を口にして短剣を掴むとそれを誰もいない方向に投げてから、雪丸を保持していない左手にライトエフェクトを灯して地面を殴りつける。 左腕に装備してあるガントレットと地面は、ドンでもゴンでもない、キンッと言う涼やかな音色を奏で、そして僕は宙を舞った。
これは腕力にものを言わせた荒技ではなく、ガントレットに付与された《ノックバック効果上昇》の特殊効果を利用した、言わば裏技だ。
地面は破壊不能オブジェクトに設定されている上、当然だけど動かすこともできない。
そんな地面にノックバックは発生しないわけだけど、《ノックバックを発生させる》と言う攻撃側からの命令は忠実に出力される。 その矛盾を解決するため、《ノックバックを攻撃物に反射する》……言い換えれば《跳ね返す》ことになるのだ。
わかりやすく言えば、ボールを壁に投げつけると跳ね返ってくるあれである。
そしてこの場合のボール、即ち攻撃物は僕の左手と言うことになり、跳ね返されたノックバックで吹き飛ぶ左手に引かれて僕自身が飛んだ、と言うことだ。
もちろんこれは誰にだってできるわけではない。
プレイヤー自身の重量と装備重量とが軽量でなければできない裏技だし、たとえできたとしても空中での姿勢制御がうまくいかないと飛距離を稼げない上に着地にまで失敗する。 そうなればモンスターに殺される危険性だってある、非常にリスキーな裏技なのだ。 僕だって好き好んで使いたくはない。
空中に投げ出した短剣を回収して鞘に納めると、ジルを確認しつつ自身の体勢を整えて着地。 注意を引きつけるために矢を何発か放っていたティルネルさんを次のターゲットにしたらしく、ジルが獰猛な雄叫びと共に突貫していた。
僕に比べれば遥かに防具が充実してい
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