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幻影の旋律
狂気の一端
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だ。 それを反故にするつもりはない。
だが、せめて一言、何かしらの一言があるべきだろう。 ソレは未だに、リンに対して謝罪を口にしていないのだ。 どうやら旧知の間柄らしいレイとリゼルには謝罪したと言うのに、だ。
「おい、ちょっと待ーーーー「馬鹿っ!」
一言文句を言ってやろうとソレの肩に手を伸ばした瞬間、リンの右手は不自然な方向に弾かれた。
リゼルが口にした端的な罵倒を聞く余裕も、自身の右手の行方を気にする暇もなく、今度は身体全体に衝撃が走る。
「がっ……」
気がつけばリンは壁に叩きつけられていた。
誰に、などと問うまでもない。 目の前には、さっきまで収まっていた狂気を再び撒き散らすソレがいる。
ドンッと自身の顔のすぐ横に突き刺さった右足を見て、ようやくリンは自分が壁を背に座るように崩れていることに気がついた。
そして響くソレの声。
「お前、何をしようとしたですか?」
荒らげたわけでもない声に、しかしリンは何も返せない。
「お前、私に触ろうとしたですか?」
声を上げることさえ叶わない恐怖がリンの身をその場に縫い付ける。
「お前、そんなに死にたいですか?」
目。
その目にリンはひたすら恐怖した。
リンと言う存在を収めているはずの目。 だが、そこには何も映っていなかった。
怒りも、憎しみも、興味も、何もない。 あるのはそう、ただ狂気のみ。
そこでようやくリンは悟る。
ソレは今までリンを無視していたわけではないのだ。 謝罪の言葉を口にしなかったのは、リンと言う存在がソレの視界に映っていなかっただけ。 だからこそソレはリンの前を普通に通り過ぎたのだ。
何しろ、そこにリンはいなかったのだから。 少なくともソレの視界には。
「死にたいならぶっ殺してあげるですよ。 大丈夫。 《でぃーちゃん》なら苦しむ暇もなく一撃で逝けるですから」
ズッと鎌首を擡げた死へと誘う両手斧を見ながら、しかしリンに抵抗の意思は芽生えない。
振り上げられる狂気の凶器をただ見詰め、そしてーー
「そこまでさ、アマリ」
ソレは寸前で止まった。
制止の声を上げたリゼルに向かって、ソレはコテンと首を傾げる。
「どうして止めるですかー? 私は今からここのこれをぶっ殺すだけですよ?」
「いや、いくらアマリでもそれは見過ごせない。 そいつはアタイらのダチで恩人だからね」
「でもフォラスくんの友達じゃないですよ? だったら生かしておく理由はないです」
「だからダメだって! ボクからもお願いだよ!」
「んー、レイ姉ちゃんのお願いでも聞けないですねー。 だってこれ、私を触ろうとしたですよ?」
コテン、コテンと左右に揺れる首は
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