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幻影の旋律
狂気の一端
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で言うなら俺も問題にはしない。 だが、アレは一体なんなんだ?」
「なんなんだって言われてもね。 見ての通り可愛い女の子、で納得してくれないかい?」
「それで納得できると思うか?」
「ま、思っちゃいないさ」
悪びれもせずに肩を竦める友人に冷ややかな視線を送ると、観念したのか、それとも元から話すつもりだったのか、ポツリと話し始めた。
「アレはね、リン。 アタイらの常識が通用しない相手なのさ」
「…………」
「アレは罪悪感を抱かない。 アレに禁忌はない。 あの状態のアマリは言っちまえば殺戮マシーンだ。 動くもの全てを殺さないと止まらない。 顔を見てすぐにアタイらをアタイらだって認識できなかったのがいい例さ」
「そんな人間がいていいのか?」
「現にいるだろ?」
それもそうか、と納得したリンだが、しかしソレの所業に納得したわけではない。 と言うか、納得できる2人がおかしいのだ。
「リゼルはアレをどうにかしようとしないのか?」
「無理さね。 どうにかしたくてもどうにもなんないよ、アレは。 まあ、さっきも言ったけど、普段はいい子だし、隣にフォラスがいれば問題ないしね。 その辺りで納得しとくれよ」
「……こっちに害がないならそれでいいさ」
はあ、とため息を吐いたリンの肩を叩いてから、リゼルはさっさとアマリたちの方に歩み寄っていった。
「よう、アマリ。 元気そうじゃないか」
「あはー、リゼルの姐御はお元気ですかー?」
「もちろんさ。 ところでフォラスはどこにいるんだい?」
「それがわからないのですよ。 魔法陣に乗ったら別々に転移されたのでびっくりです。 『はぐれた時は安全な場所から動かないでね。 どこにいても僕が必ず見つけるから』って前に言われたのでここで待ち待ちしてるですよー」
「はあん、そりゃ災難だったね。 アタイらもリーダーとはぐれちまって困ってたところさ。 どうだいアマリ。 一緒に来るかい?」
「んー、待ってるのも飽きちゃったので私も行くですよー」
ちょっと待て! と言う突っ込みをリンはどうにか飲み下した。
先ほどの一幕を完全に無視した提案はリンにとってあり得ないことだが、それを口にするのは憚られる。 リゼルが断片的に語ったソレの内面は、吐き気を覚えるほどに歪んでいて、恐怖を感じるには十分すぎた。
「じゃあ行こうよ。 ボク、早くみんなと合流したいもん」
「アタイも早くニオに会いてぇ。 つうか、ニオが切れた」
「あはー、私もフォラスくんが切れてるですよー」
しかし、普通に、あまりにも普通に自分の前を横切ったソレに、リンの自制は完全に吹き飛んだ。
別に今更どうこう言うつもりはない。 リゼルの言い分に形だけとは言え納得した後
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