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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
調剤師と薬師
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えれば、病気だったって言う説が濃厚だけど」
 「知能障害とか頭脳損傷が原因、って言うあれですか?」
 「あるいは麦角菌の摂取や狂犬病罹患者って言うそれ。 狼と人間との中間に変身するって点に関しては科学的根拠がないけど、そっちはある程度の根拠もあるしね。 て言うかニオちゃん、ずいぶん詳しいね。 もしかしてこっち方面に興味がある人?」
 「いえ……ただ、友達がいなかったから本が友達だっただけで……」
 「へぇー、ニオちゃんって物知りだねっ」

 微妙に暗い過去を言ったニオちゃんを《物知り》の一言で片付けてしまうヒヨリさん。
 友達がいない云々を笑うでもなく同情するでもなく、ただ知識の多さに感心してみせるそのパーソナリティーは凄まじいものがある。 どこぞの副団長様とはまた別種の真っ直ぐさは、言ってしまえば単純なだけなのかもしれないけど、それは《真摯》と言い換えることもできる。
 僕のような捻くれ者には眩しすぎるパーソナリティーだけど、羨ましく思えるのも事実だ。

 「まあ、そんな眠たくなりそうな狼男の講義は置いといて、それより気になることがあるんだけど。 ……ティルネルさん」
 「はっ、はい!」
 「いやいや、そこまで驚かれるとちょっと傷つくかも」
 「すいません……」
 「冗談だけどね」

 ひょいと肩を竦めてみせた僕を咎める声はない。

 「ティルネルさんって薬師なんだよね?」
 「はい」
 「どうして解毒用ポーションを持ってなかったの? 確かにレベル9の麻痺毒用ってなると素材も希少だけど、1本くらいは持ってそうだなーって」
 「…………」

 僕の質問にティルネルさんは固まってしまう。
 元とは言え、騎士団の従属薬師だったティルネルさんだ。 製作するポーション類(正確には《エルフの秘薬》と言うらしい)は一般的な店売りの物やプレイヤーメイドとは一線を画する効果があると言う情報を得ている。 だと言うのにレベル9の麻痺毒を解毒するポーションを持っていないのは、なんだかんだ不自然な気がしての質問だったけど、それはそこまでクリティカルだったのだろうか?
 ともあれ、それは気になっただけの事柄なので安心させるために言葉を重ねる。

 「いやまあ、言いたくなかったら無理に聞かないよ。 ただの好奇心だしね、うん」
 「………たのです」
 「うん?」
 「転移された時に転んで割ってしまったのです……」
 「あー、そっか、うん、なるほどね。 そう言うことなら仕方ないって言うか、そんなこともあるさって言うか……えっと、ドンマイ……」

 シュンとするティルネルさんを前に誰がそれを責められようか。
 慰めるのは僕のキャラじゃないのに、そんなティルネルさんを放っておくこともできず、不器用な慰めと同時に視線を右往左往さ
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