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幻影の旋律
調剤師と薬師
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、そのどれもに共通した特性があるんです」
 「特性?」
 「はい。 その特性は《変身》。 人から狼へと変身した状態を狼男と言うので、もしかしたら《通常モンスターからボスモンスターに変身》する可能性もあるんじゃないかと思いまして……」
 「そうだね。 僕もそう思うよ。 変身しない狼男は狼男じゃない。 ヒヨリさんたちと戦う前からあの姿って言うことは、もう一段階変身が残っててもおかしくないんだ。 警戒する理由としては十分だよ」

 何しろ、SAOに登場するモンスターは製作者の趣味なのか、伝承や伝説を色濃く反映しているケースが多い。 狼男の名前にジル・ガルニエを持ってきているのがそのいい例だ。

 「フォラス君っていつもそんなことを考えているの?」
 「ん? うん、そうだね。 前にも言ったと思うけど、ありとあらゆる可能性を考慮してありとあらゆる対策を、って言うのが基本の世界にいたからね、僕は」
 「……そんな調子だといつかハゲるわよ」
 「あはは、それ、リズさんにも言われたよ。 さて、リーダー。 そんなあれこれを踏まえて、作戦はどうするのかな?」

 意地悪く振ってみると、クーネさんは真剣に悩む素振りを考える。
 なんだかんだ言いながら、彼女の指揮能力と参謀の適性は僕以上だ。 仲間の命を最優先に考え、けれど慎重になりすぎるわけでもなく、攻めるべき時は攻めて退くべき時に退く。

 最小のリスクで最大の結果を。

 通常のゲームであれば咲かない才能だけど、デスゲームでは重要な才能だろう。 生まれる時代が違えば、きっと名軍師になっていたに違いない。

 「あの、フォラスさん……」

 作戦思案中のリーダーを横目に、ニオちゃんが僕に話しかけてきた。
 僕より数段低い位置にある顔を覗き込んで先を促すと、一瞬だけ唇を尖らせる。 どうやら子供扱いが不服らしい。
 もっとも、それは一瞬だけで、しかも実際に口にしないのは、僕に何を言おうと無駄だと理解しているからだろう。 実年齢を知りながら、それでもちゃん付けを止めていない僕を相手にしているのだから、それは賢明な判断だ。

 「ジル・ガルニエって、もしかしてフランスのジル・ガルニエですか?」
 「そうじゃないかな。 狼男でジル・ガルニエって言えばそれ以外に思いつかないし」
 「なんのお話し?」

 話しに割り込んできたのはヒヨリさん。
 どうやら暇を持て余しているらしく、話し相手を求めているようだ。

 「ジル・ガルニエって言うのは、フランスで有名な実在した狼男でね。 元ネタはそれだろうって話し」
 「えっ、狼男って本当にいるの?」
 「んー、正確には《実在していたとされている》かな。 フランスの公文書に記載されてるんだけど、真偽は微妙だね。 まあ、当時の時代背景を考
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