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幻影の旋律
暫定パーティー結成
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こまでの疑問はない。 それが攻略組でもトップクラスのパワーファイターだと言うことも、少年からすれば驚くには値しない事柄だった。
少年が驚いたのは、あるいはソレがなんなのか判断しかねているのは、ただ単純に、目の前で起こっている現象があまりにも異質すぎたからだ。
異質。
そう。 その一言以外、ソレを表現する術を少年は持たない。
「ーーーーーーーーーーーーーーッ??」
野獣のものでさえもう少し大人しいだろうと思えるほどに荒々しい、声にならない咆哮。 そしてその後に続く、大地をも揺るがす轟音。 衝撃。 少女の周囲に展開されていく紫色のウインドウ。
言葉にしてしまえば、それを表現するのは簡単だ。
少女が咆哮と共に振り下ろす両手斧の衝撃により、洞窟内の地面や壁、果ては天井までが破壊不能であることを示すメッセージを表示している。 それだけだ。
しかし、そこに新たな疑問が加わる。
洞窟が破壊不能でであることは少年とて知っている。
少年自身はやらないが、それと似通った現象を起こすことは割と簡単だ。 コートの裾に隠してある片手剣を抜き放ち、周囲を何度も刻んでみればそれでいい。
だが、桜色の少女が起こしている事象は、全く違う。
たった一撃。
たったの一撃で少女の周囲に何十枚もの紫色のウインドウが出現し、そして消えていく。
一部のソードスキルには着弾点を中心に衝撃波を起こすものもあることにはあるが、それとは根本からして違う。 ソレが起こす衝撃波は、その規模があまりにも桁外れなのだ。
まるでそう、少女の周囲が爆発しているかのような……
まるでそう、少女自体が爆発しているような……
「なあ、リン。 アレは一体なんだい?」
ふと、隣に立つ友人が少年に小声で問い、その更に隣に立つ友人も首を傾げている。 しかし、少年もその答えを持ち合わせていない。
知るか、と返そうとした瞬間、少年は身も凍るような恐怖の笑声を聞いた。
「あっはぁ!」
グリン、と。 人間にはおおよそ不可能と思えるほどの勢いと角度でソレの首が回り、十分に距離を置いていたはずの少年たちをその両の瞳が捉える。
全身に怖気が走るが、あまりの恐怖に身体が竦んで動かない。
「あっはぁ!」
もう一度笑った少女の顔には、人間のそれではない狂気と愉悦とに歪んでいた。
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