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幻影の旋律
暫定パーティー結成
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ヒヨリさんたちは元々パーティーを組んでこのダンジョンに挑んでいたらしい。 それならば、やはり僕はいない方がいいだろう。

 そう考えての行動だったけど、僕と然程変わらない背丈のヒヨリさんに手を掴まれ、それは一歩を踏み出す前に止められる。

 「えっと、何かな?」
 「私もいく」
 「はい?」
 「だって、私を助けるために武器を落としちゃったんでしょ? だから、私も手伝うよ」
 「いや、ちょっと待って。 いやいや、かなり待って。 さっきも言ったけど、ヒヨリさんを助けたのは目の前で死なれたくなかっただけで、だからそこまで恩義を感じられても困るよ。 それに、武器を回収するにはあの狼男と再戦しなくちゃだろうし、そうなったらまた危ない目に遭うかもしれないんだよ?」
 「でしたら尚更です。 そのような危地に丸腰で挑もうとする人を放っては置けません」
 「だから……あー、もう、わっかんない人たちだね。 クーネさんからも何か言ってあげてよ」

 眩しい笑顔と穏やかな笑顔で同行を宣言するヒヨリさんとティルネルさん。 その表情から2人とも物腰が柔らかいくせに曲がらない意思を垣間見て、クーネさんにヘルプを出した。
 クーネさんは攻略ギルドのトップと言う立場上、僕に下された処分を詳しく知っているだろうと推測しての救援要請だったけど、それはアッサリと切り捨てられる。

 「もちろん、私もいくわよ」
 「わ、私もいきます……」

 予想外すぎる言葉に固まっていると、クーネさんは微笑を真剣な表情に切り替えた。

 「聞いている限りその狼男は強敵なのよね? だったら戦力は多い方がいいと思うけれど?」
 「そりゃまあそうなんだけど、でも、クーネさんだって知ってるでしょ? 僕は今、攻略組との接触が禁じられてるって」
 「禁じられているのは、攻略組との意図的な接触であって、友達との交流は禁じられていないはずよ?」
 「いや、それは屁理屈って……あー、わかったよ、わかりましたともさ。 どうせ何を言っても聞くつもりはないんでしょ?」
 「足手纏いだ、と言うのなら諦めますが?」
 「このメンツを足手纏い呼ばわりできる奴なんてそうはいないよ、まったく……」

 澄まし顔で首を傾げるクーネさんに肩を竦めて返しつつ、僕は抵抗を諦めた。
 僕は平気で嘘を吐くけど、それでもこうも真っ直ぐに心配されてしまえば嘘を吐いてまで抵抗できるわけもない。

 やれやれと頭を振ってから、未だに掴まれたままの手を上げて降参の意を示す。 すると、ヒヨリさんの手がようやく離れて、その代わりいっそ眩しすぎるくらいの笑顔を見せられた。

 こうして、雪丸奪還作戦に向けて、僕らの暫定パーティーは結成される。
 まあ、そうは言っても実際にパーティーを組むことだけは断固拒否し
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