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幻影の旋律
暫定パーティー結成
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われてしまう。
そう言えば、この人は前からそうだった。
狂気に惑い、復讐に明け暮れていた僕たちを責めるでもなく、ただ見守り続けてくれていた。 復讐をやめて攻略組に戻って迎えた最初のボス攻略の際、誰もが敬遠する中で僕たちをパーティーに誘ってくれたのもクーネさんだ。
ギルド内に反対意見だってあっただろう。 ギルドの立場を危ぶませる可能性だってあっただろう。 何も言わなかったけど言いたいことだってあっただろう。
けど、クーネさんは……《片翼の戦乙女》の創立メンバーである4人は、何も言わずに僕とアマリを受け入れてくれた。
いつものように笑って、『おかえり』の一言だけで……。
だからこそ僕もアマリも素直に言えたんだ。 『ただいま』と。
そっぽを向き続ける僕の頭を、クーネさんがポンと叩く。
それが無性に嬉しくて恥ずかしくて、僕は無言のまま更に顔を背けた。 そんな僕をクーネさんはまた笑うのだった。
「さっきは助けてくれてありがとね。 私はヒヨリって言うんだ。 よろしくね」
「ティルネルです。 ヒヨリさんを助けて頂いたのに疑ってしまって申し訳ありませんでした」
「あー、いいよ別に。 目の前で死なれたくなかっただけだし、あの状況なら疑って当然だしね。 えっと、僕はフォラス。 よろしく」
と、ようやく解毒の終わった白のお姉さんと、終わるまで傍を離れなかった黒のお姉さんの2人は、ようやく落ち着いた状況で自己紹介を始めた。 ボス攻略で顔は知っているし、色々な情報を収集している僕にしてみれば必要のないことだけど、それでも自己紹介は交流の基本だ。 その流れに乗って僕も名乗る。
ちなみに、ペコリと元気よく頭を下げるヒヨリさんの首から下にある部位がタフンタフン揺れているけど、とりあえずさりげなく目を逸らしておく。 ティルネルさんの装備は身体のラインが露骨にわかるので、そちらからも目を逸らした。
「さて。 お姉さんたちも動けるようになったみたいだし、僕はもういくね」
「いくって、どこにいくの?」
「とりあえずは放置してきた武器の回収。 それからアマリと合流しないと」
「アマリ?」
「うん、アマリ。 僕の攻略パートナーで愛する妻。 《惨殺天使》って言った方が通りがいいかな? 一緒に来てたんだけど、途中ではぐれちゃってね」
正確には別々に転移されたわけだけど、そこまで細かく話す必要もないだろう。
肩を竦めた僕は、クーネさんたちに一礼してから踵を返す。
イレギュラーかつ緊急事態だったので仕方がなかったとは言え、僕は攻略組との接触が禁じられている身だ。 これ以上ここに留まる理由もないし、雰囲気を見ている限りクーネさんたちと
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