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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
窮地との再会
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、重装備幼女が振り返る前にソードスキルが発動する。

 密着時専用単発ソードスキル、《崩槌》
 回転によって生み出された遠心力を余さず乗せた背面肘打ちは、重装備幼女を軽々と薙ぎ倒す。
 威力の低い《体術》スキルの中でも輪をかけて低いこの技の利点は、完璧にヒットさせれば高確率で相手を転倒させることだ。 そんなスキル固有の補正に加え、不意を突いたことと相手が振り返ろうと重心を移動させたこととが複合して、本来の僕の筋力値では不可能な『タンクプレイヤーを転ばせる』と言う奇跡に等しい事態を生み出した。

 それによって開けた視界に飛び込んでくるのは、こちらに猛然と斬りかかろうとする白銀のお姉さんの切迫した表情。
 このまま何もしなければ斬り殺されかねないので、硬直が解けるや否や、抜いておいたピックを投げて牽制すると、今度は大きく飛び退いて黒のお姉さんの隣に立った。

 「あの、この人は……」
 「彼女たちから離れなさい!」

 ようやく事態を収拾しようと口を開いた黒のお姉さんの言葉を、怒り心頭の白銀のお姉さんが塗り潰す。
 もちろん離れろと言われて離れる理由もないので、僕は動かずに笑った。

 今、白銀のお姉さんと重装備幼女の目には僕はこう見えているだろう。

 全身黒系統の装備で身を固め、フードを目深に被った体術使いの()()()()、と。

 黒系統の装備を使っている理由は隠蔽ボーナスを得るためだし、フードを目深に被っているのは、誰かに見られた時の面倒を減らすためだし、僕のカーソルがオレンジになっているのは白のお姉さんを雪丸の柄で小突いた時にダメージ判定が出てしまっただけだし、体術を使ったのも雪丸を落とした上に短剣は狼男の肩に突き刺したからと言うだけのことだ。 それでも、そんな事情を知らない2人からすれば、全く無名のオレンジプレイヤーが仲間を襲っている、なんて中々に笑えない状況にしか見えないのだろう。

 さて、そろそろ終わりにしないと冗談では済まなくなりそうだ。 もっとも、現時点で既に冗談で済まなそうだけど。
 ちょっと遊びが過ぎたかな? そんな反省をしながら、僕は目深に被っていたフードを払い、()()()()と対峙する。

 2人の表情が驚愕に彩られ、その目が大きく見開かれる様を見て僕は笑った。

 「相変わらず仲が良いようで何よりだよ。 クーネさん、ニオちゃん」

 それから一層笑みを濃くして一言。

 「ドッキリ大成功ー」
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