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幻影の旋律
窮地との再会
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してから奪い取ってもいいけどね」
どうする? と首を傾げつつポーションを揺らすと、ようやく決心がついたようで、黒のお姉さんはそれを恐る恐る受け取ってくれた。
「それでは、ありがたく頂戴しますね」
「どうぞ。 僕は周囲を警戒しておくから、お姉さんが飲ませてあげてね」
「はい」
まだ半ば以上疑っているだろうに、それを言葉にしない辺り、このお姉さんはずいぶんと良い人みたいだ。
黒のお姉さんが白のお姉さんにポーションを飲ませている間に僕はストレージを操作して、フード付きの外套を取り出すと、それを羽織り、フードを深めに被った。
今更だけど、僕は攻略組との接触を禁じられている身だ。 今回の場合は偶発的かつ緊急だったため、ヒースクリフも文句は言わないだろうけど、一応は体面を取り繕わないといけない。
さて、黒のお姉さんに宣言したように周囲を警戒しなーーーー瞬間、僕は首を逸らして白銀の片手剣による一撃を避けた。
「なっ……」
まさか僕が避けるとは思っていなかったのか、未知の襲撃者は微かに驚愕の吐息を漏らしていたけど、この際それは無視。
さすがに温厚な僕でも背後から足跡を殺して不意打ちされればカチンとくるので、そのまま相手を確認する手間を惜しんで後ろ回し蹴りでそのプレイヤーを迎撃した。 一瞬だけ漏れた驚愕の吐息に聞き覚えがある気がしなくもないけど、今はそれも無視しよう。 振り返ってようやく捉えた襲撃者……白銀の鎧を身に纏う女性騎士然とした少女に見覚えなんてない、うん。
完全に不意を突かれたために踏ん張りが利かず、僕の低い筋力値でも吹き飛ばされてしまった白銀のお姉さんを庇うために突進してくる、その小柄な身体を重金属装備で固めた幼女にも見覚えがあるけどきっと気のせいだろう。
うんうんと胸中で頷いていると、重装備幼女が右手に持ったメイスではなく、左手の恐ろしく重厚な盾の先端をこちらに向けて構えた。
初対面なので何をされるかわからないけど、何かをされる前に僕から重装備幼女との距離を詰め、微妙に怯んだ隙に身体をズラして僅かな隙間に滑り込む。 アマリ以上の筋力値を有する重装備幼女(いや、有しているかは初対面なので知らないけど)は咄嗟に振り返ろうとするけど、その視界とは反対方向に身体を滑らせ、同時に壁を利用して三角跳び。
心渡りを使うまでもなく、重装備幼女は僕の姿を完全に見失った。
「後ろっ!」
「はえ?」
けれど、さすがは白銀のお姉さん。 僕の位置を重装備幼女に短く伝えるけど、それでも当然遅い。 まあ、我ながら何がさすがなのかは初対面だからわからないけど。
着地の勢いそのままに身体を回転させるのと、ガントレットを装備した僕の左腕が色味の薄い青に染まるのとがほぼ同時に起こり
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