暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
窮地との再会
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になる。 作るためには、それはもう笑いたくなるくらいのレア素材と多大な時間が必要になるため、市場に出回ることはまずないし、たとえあったとしてもとんでもなく高価(安めのプレイヤーホームが買える、と言えばわかりやすいだろう)なので、持っているプレイヤーは相当に少数だと思われる。
 しかもこの毒は、受けると凄まじい脱力感と息苦しさをプレゼントしてくれるとんでも仕様で、ペインアブソーバーのお陰で痛みを殆ど感じないこの世界に於いて、言ってしまえば最も苦しい拷問なのだ。

 どうやら2人のお姉さんもレベル9麻痺毒用ポーションを持っていないのだろう。 黒のお姉さんが悔しそうに歯噛みし、白のお姉さんは心配させないようにと力なく笑った。

 「まったく以って悪趣味だよね、ほんと。 ねえ、お姉さん」
 「は、はい!」
 「これ、そのお姉さんに使ってあげて」

 そう言いつつ、オブジェクト化したポーションを黒のお姉さんに差し出した。

 僕は調合スキルをコンプリートしている。 加えて、日々の研究の過程で、このポーションの作製に成功しているので、ストレージ内にも数本のストックがあるのだ。
 とは言え、これがとてつもなくレアで高価であることは変わらないけど。

 さすがは()()だけあってその手の事情に明るいのか、僕が差し出したポーションの高価さを一瞬で理解したのだろう。 窺うような視線を僕に向ける。
 あるいは、疑うような、か。

 甘い話しには裏がある。
 SAOをここまで生き抜いてきたプレイヤーにとって、そんなことは当たり前のことだ。 信頼できる者以外の全てを疑うことは、ここで生きていく上での常識だと、疑われている僕本人でさえ思う。
 まして、特殊な立ち位置にいるとは言えこのお姉さんたちは攻略組。 その手の危機意識は当然のように持ち合わせているだろう。
 撤退の時はそこまでの余裕がなかったので白のお姉さんを僕に任せてくれたんだろうけど、落ち着いた現状では疑念が先行して当然だ。

 「別に無理に受け取ってくれなくてもいいよ。 これは言っちゃえば自己満足だしね。 ただまあ、僕を暫定的に信用するか、そこのお姉さんが苦しむ様を20分間何もしないで眺めてるか、どっちが正解だと思うのかな?」

 誰かに信じてもらえるほど高潔な人間ではない僕は、黒のお姉さんを煽るように意地悪く笑った。

 そう。 これはただの自己満足なのだ。
 白のお姉さんを助けたいわけでも、黒のお姉さんに恩を売りたいわけでもない。 誰かが苦しむ姿を見たくないと言う、醜いわがまま。

 「それが本当に解毒用のポーションだと言う保証はありますか?」
 「ないよ。 信じられないなら受け取らなくていいし、受け取った後に僕を拘束してくれてもいい。 もちろん拘束
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