暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
交わりの時来たれり
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……いや、支障はあるのか。
「この狭さだと雪丸は使えないよね。 かと言って双剣を大っぴらにしたくないし……」
通路が異常に狭い。
こうなると雪丸は使えないだろう。 刺突系にのみ絞れば使えないこともないけど、それだと戦いにくいことは否めないし、何より長すぎる雪丸が邪魔で方向転換がしにくく、不意打ちに対応できない。 索敵が使えない現状でそれはあまりにも危険だろう。
さて、こうなった場合の選択肢は少ない。
いっそ転移結晶を使って脱出する。
これが一番安全ではあるけど、ちょっと面白くない上にアマリを放置して帰るなんて怖すぎる。 と言うわけで却下。
エスペーラスとマレスペーロを使う。
あれならリーチが短いのでここでも振れるだろうけど、万が一にも誰かに見られたら面倒なのでやっぱり却下。
体術スキルを使って先に進む。
これなら敵に遭遇してもなんとかなるし、しかも体術スキルなら人に見られても問題ない。
と言うか、結局は狭い環境で戦う場合のいつものパターンだ。 別に思考するまでもない。
「まずは周囲を警戒しつつアマリと合流だね。 ……ん?」
適当に行動指針を決めた僕の耳に、馴染み深い金属音が届いた。
その方向に意識を向けると、かなり遠くのほうで誰かが戦っているのか、単発の音から連続的な音に変わった。 時折聞こえてくるのはモンスターの咆哮だろう。
「やっぱり他にプレイヤーがいたみたいだね、まったく」
双剣を装備していないでよかった。 安堵の息を吐いてから、僕は音が聞こえる方向に向かって駆け出した。
別に人恋しいわけではない。
ただ、そこにいるだろう彼だか彼女だかの戦闘を見物しつつ、ここに出るモンスターの情報を僅かでも集めようと思っただけだ。
狭い洞窟を駆け抜けながら、手早く隠蔽スキルを発動。 同時にウインドウを操作して左腰に短剣をオブジェクト化させる。
基本的に変装用の小道具だけど、この狭い環境下で使える武器は使える状態にしておくべきだ。 短剣スキルを持っていないのでソードスキルは使えないけど、それでもそれ以外にも用途はある。
元々高い敏捷値を有する僕は、疾走スキルの恩恵も手伝って凄まじい速度が出せる。 音の発生源にすぐそこまで迫ったようで、金属音が段々と大きくなってきた。
いくつかの曲がり道の先。 やや開けた場所が音の発生源だった。
そこにいるのは、大きな二足歩行の狼。 ドラゴンタイプ以外のモンスターをこの層で見たのは初めてだけど、それは別に驚くことでもないので無視。 視線を合わせることで発動される識別スキルによると、モンスターの名は《ジル・ガルニエ》、レベルはこの層では破格の89。
定冠詞がないのでボスモンスターと言うわ
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