暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
交わりの時来たれり
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る魔剣伝承だ。 要するに人格を剣が乗っ取り、何かを殺すことしか考えられない殺戮の権化と化すらしい。 前までの所有者は全員、その魔剣に魅入られ、龍人の国を脅かしたそうだ。
だからこそ龍皇が封印し、宝物庫に保管していたらしく、今回の下手人はそれすらも盗み出したとかなんとか。
で、本題。
「《災厄の魔剣》を取り返してくれ、かー……。 なんて言うかど直球なファンタジーだね、これ」
「あはー、燃える展開なのです」
「へえ、アマリはこう言う感じのが好きなの?」
「王道直球大好物です。 これでお姫様が攫われてたりしたら完璧ですねー。 そう言うフォラスくんはお嫌いですかー?」
「うーん、嫌いじゃないけどあんまりね。 僕としてはもうちょっと凝った感じのストーリーの方が好きかな」
「どんなのですです?」
「例えば、実はお姫様が黒幕で、『龍皇様亡きこの国など滅んでしまえばよいのです』とかなんとか言いながら城を燃やし尽くす、とかかな。 もちろんお姫様の高笑い込みで」
「それは暗い趣味です……」
「あるいは、ヴェルンドさんが黒幕で『よくぞ持ち帰った。 褒美に貴様らをこの剣の錆にしてくれよう』みたいな。 もちろん激強なヴェルンドさんとのバトルは鉄板だね」
「それは寝覚めが悪い趣味です……」
馬鹿なゲーム談義で盛り上がりながら、実際のところ、そんな未来を僕たちは望んでいない。
それらはあくまで《趣味》としての話しであって、《現実》の話しではないのだ。 ここはゲームの中だけど、それでも僕たちにとっては現実であり、その結末はハッピーエンドであってほしい。
さて、僕たちが今いるのは70層の南西部。 とある渓谷を越えた先にある洞窟の中にあった隠し扉をこじ開け、更に進んだところにあるダンジョン。
もちろん攻略組はおろか、僕が懇意にしている数人の情報屋すらこの場所は知らないらしい。
と言うのも、攻略組は迷宮攻略最優先であり、一部の例外を除いてそれと無関係と断じた場所に立ち入ることはあまりなく、かと言ってそこまで攻略に本腰を入れていない中層ゾーンのプレイヤーや攻略組一歩手前のプレイヤーでは、フィールドにドラゴンタイプの強敵が跋扈するこの層を探索できるほどレベルが高くない。 万が一この層を探索できるほどレベルが高いプレイヤーがいたとしても、そもそも洞窟にモンスターが出現するわけでもなければ、鉱石が採れるわけでも、まして宝箱があるわけでもないので訪れる理由がないのだろう。
つまりここは、いわゆる《隠しダンジョン》と言うわけだ。
まあ、たとえ隠されていなくても、ここは敬遠されそうではあるけど。
索敵スキル使用不可なのでソロプレイヤーには嫌われるだろうし、通路が狭いからパーティープレイにも明らかに不向きだ。
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