暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
交わりの時来たれり
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「…………」
 「…………」

 きっかり5秒の沈黙は、これをどうするべきか迷ったからだろう。

 クエストに対する僕とアマリのスタンスは、基本的に『レベリングのついで』だ。 クエスト報酬やクエストボスのドロップ品が強化素材だったり生産系の素材だったりすればその限りではないけど、それでもクエストに本腰を入れたことはあまりない。
 僕たちの現在の最優先はあくまでSAOの攻略であり、それを全うするための自己強化なのだから、当然と言えば当然だろう。 迷宮区攻略に本腰を入れず、クエストの……それも隠しクエストの攻略をメインに据えているプレイヤーもいることにはいるらしいけど、そんな変わり者を除けば殆どのプレイヤーが僕たちと同様のはずだ。
 優先順位の差である。

 「うーん、どうする?」
 「んー、このまま家でお喋りも楽しそうですけど、こっちも楽しそうですねー」
 「そう?」
 「だって、もしかしたらまた龍皇をぶっ殺せるかもしれないんですよ? 重くなったでぃーちゃんで今度こそ私がぶっ殺すです」
 「ああ、そう言うことね」

 アマリらしい理由に思わず苦笑いしてから僕も頷いた。

 「うん。 ダラダラお喋りは帰ってきてからでいいよね?」
 「もちろんですよー」













 なんだか懐かしの、けれど実際には数日振りに再会したヴェルンドさんは、誰もが予想外の姿をしていた。
 前回会った時にはなかった朱い鎧を身に纏い、背中には刀身が波打った独特な形状の大剣(確か、あの手の形状の剣をフランペルジュと言ったはずだ)と大きな盾まで装備されていた。

 まあ、ここまでは別に不思議でもない。
 彼が龍皇の直轄鍛冶師だったことは以前から知っていたことだし、元々は剛力無双の戦士だったことも、やはり前回の情報収集の際に知り得ていた事実だ。
 だから問題は、そんな彼が装備する武器と防具の全てがボロボロで、おまけに全身隈なく傷だらけと言う点だろう。 それはさながら、戦いに敗れた戦士のように。

 知り合いがそんな姿をしていることを心配して差し出したポーションを受け取ることなく、彼は唐突に語り出した。

 曰く、龍皇の城の宝物庫が何者かの手により荒らされた、と。
 曰く、持ち出された金品の中には龍皇夫妻の思い出の品が含まれていた、と。
 曰く、龍皇が封印していた《災厄の魔剣》なるものもそこに含まれていた、と。

 続けて彼はこう言った。

 「災厄の魔剣は先代の鍛冶師が打った剣だ」
 「やや小振りだが、されど斬れ味の鋭い剣だった」
 「その剣にはとある呪いがかけられている」
 「抜けば持ち主の精神を汚染し、生き物を殺すことに快楽を得るようになる」

 聞いてしまえば、それはよくあ
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