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東方霊夢譚

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。幻想郷は貴方を歓迎するわ」




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「いつまで歩けばいいのよ、里なんて全然見えないじゃない」


博麗神社を去ってからそれなりの時間が経った……と思う。歩き始めたときには空もそれなりに青かったのに今では少し夕焼けに染まっている。夜は妖怪たちの活動時間。対抗手段のない私がこんな所をうろついてたら格好の餌でしかない


「紫に隙間で送ってもらえばよかった」


一瞬そう思ったが能力の事を話してないのに「隙間で送ってください」なんて頼んだら当然怪しまれる


「どうしようもないわね。それにしても――」


紫は私の『霊夢』という名前に何の反応もしなかった
もしここが本当に夢に出てきた幻想郷と同一の場所ならば博麗の巫女と同名である霊夢という名前に何かしらの反応を見せると思っていたんだけど全くの無反応。


(もしかしたらまだ博麗霊夢が生まれてないのか、それとも博麗霊夢が存在しない世界なのか)


前者の方が可能性は高いが後者も可能性が皆無という訳ではない。夢の中では変える手段があるのに此処ではその手段が無いのと同じく夢と現実が全く同じという訳でないからだ


(里に行ったら色々調べないと…)


そんな事を考えながら歩いているとすぐ隣から声が聞こえた


「お姉ちゃん、こんな所で何してるのだー?」


そのかわいらしい声の方を向くといつの間にか女の子が立っていた
その子と目を合わせると何が嬉しいのかその子はにぱぁと笑顔になった
とても可愛らしい笑顔だが何故か私は猛獣に睨まれたような錯覚に陥った。まるで体の五感全てが危険信号を発しているかのように全身の毛穴から汗が噴き出す


―――――この子に近づいてはいけない


「貴方こそこんな時間に何やってるよ?危ないわよ」

「私は大丈夫なのだ。そんな事よりお姉ちゃんに聞きたいことがあるのだ。お姉ちゃんは――」


その時やっと私は気づいた。この子が何者なのかを
そして後悔した。どうしてすぐに思い出せなかったのか。どうしてすぐに逃げなかったのか

金髪のショートカットにお札で出来た赤いリボン。白シャツに黒いワンピース。十字架を模して広げている両腕
この条件が全て揃う人物なんて一人しかいない

宵闇の妖怪、ルーミア

人食い妖怪だ


「食べれる人類かー?」


気づいた時には全速力で走っていた


「追いかけっこなのかー?負けないのだー!」


そう言ってルーミア私を追ってくる。さっきと同じく晴れやかな笑顔だが私にはサイコパスにしか見えない
傍から見れば微笑ましい風景に見えるが、私の命がかかってい
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