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提督はBarにいる。
提督の休日・2nd-後編-
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来てました」

 好きだねぇ相変わらず。夕張は喫煙所内に設置された椅子に腰掛け、缶コーヒー片手に煙草をふかしつつ演習の様子を眺めている。何とも堂に入った姿だ。まぁくわえてる煙草は細く、いかにも女子が吸いそうな見た目ではあるが。

「バージニアか?その煙草」

「え、よくわかりましたね」

「まぁな。いかにも女子っぽい煙草だし、特徴的だからな」

「バージニアのメンソールです。徹夜明けとかに眠気覚ましになるんですよ」

「ま、徹夜も程々にな」

 俺もポケットから煙草を取り出し、1本くわえて火を点ける。ゆっくりとふかしつつ、演習の模様を眺める。演習している艦隊の陣容は……互いに戦艦1、空母1、重巡1、軽巡1、駆逐艦が2。同じ編成で戦略の違いを確かめよう、ってトコかな?こうしてみると同じ編成でも戦術の違いが見えてきて面白い。

 俺から見て左側の艦隊は、堅実な攻めだ。戦艦・空母・重巡が距離を取り、遠距離からの砲撃と航空攻撃でダメージを重ねていく。軽巡と駆逐艦が前に出て攪乱して砲撃の着弾点に追い込もうとしている。

 対して右側の艦隊は、駆逐艦を先頭に空母以外の艦が全員敵の戦艦に突っ込もうとしている。敵の前衛なぞ目もくれず、狙うは敵の大型艦のみ。中でも先頭に立って斬り込んでいく駆逐艦……ありゃ夕立か?すげぇな、ギリギリで敵の砲弾をかわして、最短距離を駆け抜けていく。砲撃か雷撃かと思ったら、砲撃していた敵の戦艦……ありゃ長門だな、その懐に潜り込んで顎先にフック打ち込んでやがる。それで脳を揺らされたのか、長門の奴め白目剥いて気絶して倒れた。あの作戦は肝が冷えるな……指揮官としては止めてもらいたいが、格闘戦を仕込んだのが俺だってんだから立つ瀬がない。

「あれ?提督もう行くんですか」

「あぁ、ちっとその辺ぶらぶらしてくらぁ」

 全く、休みだってのにちっとも休まらねぇ。ウチの鎮守府はカオスだぜ。
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