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レーヴァティン
第十九話 紹介その四

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「爵位等は持っていません」
「そうだったんですか」
「わしもだ」
 その頑健で絶倫の依頼主も言ってきた。
「正確には貴族ではない」
「商人さんですか」
「そうだ、本来はな」
「領主さんって聞きましたけれど」
「そうでもあるがな」
 本来はというのだ。
「まだ成り上がりだ、貴族は一代では思われぬ」
「代々ですか」
「貴殿その辺りのことには疎いな」
「ええ、まあ」
 実際にとだ、久志も否定せずに答えた。
「そうしたことは」
「そうか、そういえばだ」
 ここで依頼主は源三を見て言った。
「貴殿は他の世界から来たな」
「僕達全員ね」
「道理で肌や髪や目の色が違う筈だ」
 要するにアジア系のものだというのだ、この島の者達は白人でありそうしたものが違うのは当然だ。
「東の島から来た訳でもないようだったしな」
「そう、話せば長いけれどね」
「他の世界から来た、か」
「そうした人間だよ」
「そうした者はわりかしいるしな」
「あれっ、そうなんだ」
「以前にも会った」
 この依頼主にしてもというのだ。
「かなりの美女だった」
「へえ、女の人だったんだ」
「そうだった」
「じゃあその美人さんもね」
「俺達の仲間みたいだな」 
 智が応えた。
「どうやら」
「外の世界からというからね」
「そうだな、あとな」
「あと?」
「こっちの世界外から来た世界の奴に慣れてるな」
「それはあるね」
 源三もこのことは実感して頷いた。
「異邦人だからって差別はね」
「特にな」
「受けた覚えないし」
「そこはいいな」
「昔から多い」
 依頼主がまた話した。
「そうした人間はな」
「そうなんだ」
「何かとな、貴殿達の様な肌の者もいれば黒い肌の者もいた」
 つまり黒人もというのだ。
「しかもどの者も力が強く頼りにされてきた、ただ」
「ただ?」
「よい者もいればな」
「悪人もいたんだ」
「そうした輩もいた」
 過去そうだったというのだ。
「貴殿達は善人の様だが」
「まあ何処でも善人も悪人もいるからな」
 智が少し肩を竦めさせる動作で言った。
「そこは色々だな」
「安桜元恭という男がいたが粗暴で弱い者に暴力を振るって遂に殺人まで犯して処刑されたこともある」
 こちらの世界でというのだ。
「そうした輩もいた」
「安桜、知らないな」
「うん、僕もね」 
 源三は智に応えた。
「聞いたことがないね」
「どういった奴だよ」
「わしが若い頃の話だ」
「ああ、その頃のことか」
「まだ店も小さかった」
 今は豪商だがその頃はというのだ。
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