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歌集「春雪花」
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 秋虫の

  声ぞ悩まし

   ひとり寝の

 閨から眺む

    朝ぼらけかな



 外ではあちこちで虫が鳴き…寂しくて彼を思い出しては胸が痛くなり…。

 眠ろうとしても虫の音は止まず…一人の寂しさがまるで体を凍えさせるかのようで…。

 そうして眠れずいると…いつの間にか辺りが明るくなり…少し開いていた障子戸から、朝が忍び込んできた…。


 溜め息だけが…朝の空気に消える…。



 侘び濡れし

  想いに暮れし

   村雨の

 降るもふらぬも

    秋の空かな



 どこにいようと…結局は彼のことばかり…。

 起きていようが眠ろうが…寂しさは変わらず…直ぐにでも会いたいと希う…。

 そんな私を笑うかのように、雨は降ったり止んだり…。

 想い続けるも諦めるも勝手…そう言わんばかりの移り気な秋の空…。


 願わくは彼を抱き締めたい…そんな叶わぬ願いはきっと…神さえをも悩ませるに違いない…。




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