第四十一話 神戸でもその五
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「だからなの」
「それで、ですか」
「そう、二人共そっちに移ったから」
「別の教会のですか」
「その教会会長さんおられなくて」
こうした教会もあります、事情教会といいます。
「それで会長さんになったの」
「そんなこともあるんですね」
「そう、そっちは妹のどっちかが継ぐかも知れないわ」
お家までの道を一緒に歩きながら阿波野君にお話しました。
「そうなるかもね」
「そうですか」
「そう、妹二人いるから」
「そうでしたよね」
「そのこと覚えてたのね」
「はい、先輩のことでしたら」
私の顔を見てにこにことしたまま言ってきます、その笑顔がやけに気になります。
「覚えてますよ」
「何でもっていう感じに見えるけれど」
「そうなんですよ」
「覚えなくていいのに。けれどね」
私は阿波野君に少しむっとしたお顔で言いました。
「妹達には変なこと言わないでよ」
「僕別にそうしたこと言いませんよ」
「言ってるわよ」
何かとです、だから私も言うのです。
「いつもね」
「そうでしょうか」
「そうよ、あと妹達は私なんかよりずっと可愛いから」
もう誰からも言われています、将来はアイドルになれるんじゃないかって今もよく言われています。それ位可愛いんです。
「好きになったりとか止めてよ」
「それは絶対にないですね」
阿波野君は断言してきました。
「何があっても」
「ならいいけれど」
「だって僕が好きな人は一人だけですから」
「浮気はしないのね」
「はい、何があっても」
私をじっと見てきての言葉でした。
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