第八幕その三
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「それで困っているのかしら」
「虫歯かな」
神宝はそれではと思いました。
「それで痛いのかな」
「オズの国では病気はないよ」
モジャボロは神宝の言葉に突っ込みを入れました。
「虫歯もね」
「あっ、そうでしたね」
「うん、基本ね」
「しかも誰も死ななくて」
「そうした世界でしたね」
「そうだいよ、だから虫歯はね」
その可能性はというのです。
「殆どないよ」
「そうですか」
「だから基本別の理由で困っていると思うよ」
「痛がっているんですね」
「そうだと思うよ」
「まずは聞いてみましょう」
ジュリアが言ってきました。
「ご本象にね」
「ご本人じゃなくて」
「そう、象さんだからね」
人ではないからです、生物学的に。
「聞いてみましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「今からね」
こうお話しました、そしてです。
皆はその象のところに行きました、ジュリアが象に尋ねました。
「困ってるの?今」
「うん、実は痛むんだ」
「痛いのね」
「そうなんだ、足の裏がね」
「足のなの」
「右の前足がね」
その裏がというのです。
「痛いんだ」
「それで困ってるのね」
「何かね」
どうにもというのです。
「痛むんだ」
「見せてくれるかしら」
ジュリアは象のお話を聞いてこう言いました。
「そうしてくれるかしら」
「見てくれるんだ」
「そうしたらどうして痛いのかわかるかも知れないし」
「それでどうにか出来るのかな」
「私達が出来ることならね」
それならというのです。
「そうさせてもらうわ」
「悪いね」
「まだ何もしていないのに悪いなんてないわよ」
ジュリアは象にくすりと笑って言葉を返しました。
「それに悪いということはね」
「ないのね」
「そう、ないのよ」
そうだというのです。
「だって困った時はお互い様でしょ」
「助け合うのがオズの国だね」
「そうでしょ、だからね」
「それでなんだね」
「悪く思うことはないから」
ジュリアは象ににこりと笑って言いました。
「気にしないでね」
「それじゃあ」
「ええ、まずは見せてね」
「見てね」
こうしてです、象はジュリア達に右の前足の裏を見せました。するとそこに象の分厚い足の裏の皮さえもです。
貫く様な鋭い木の破片が刺さっていました、ジュリアはその破片を見て言いました。
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