第八幕その一
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第八幕 海が見えてきて
マンチキンの国を東に東に進んでいくとです、少しずつですが。
ジャックがです、こんなことを言いました。
「あれっ、何かね」
「どうしたんだい?」
「何かあったのかな」
「海の匂いがしてきたかな」
こうかかしと木樵にも言いました。
「そんな気がしてきたけれど」
「ううん、それは気が逸ってるからかな」
「気のせいかな」
「そう思ったけれどね」
かかしはこうジャックに答えました。
「僕はね」
「ううん、そういえばね」
「そういえばって?」
「ジャックはここ暫く海には行ってなかったね」
「あっ、そうだね」
ジャックも言われて気付きました。
「僕最近海に行ってなかったよ」
「そうだったね」
「冒険には結構出てるけれど」
「それでもだね」
「海には行ってなかったよ、それでかな」
ジャック自身も言うのでした。
「早く海に行きたいのかな」
「久し振りにね」
「海はね、若し僕は錆止めをしていなかったら」
木樵は笑って言いました。
「とても嫌な場所だったね」
「君はブリキだからね」
「うん、錆びるとね」
「動けなくなるしね」
「それに折角ピカピカなのにね」
その銀色に輝く身体のこともお話するのでした。
「赤く錆びたらね」
「嫌だね」
「そうだよ、だから錆止めをしたんだ」
その身体全体をです。
「ステンレスだね」
「そうだね」
「だから海もね」
「その潮もだね」
「怖くはないよ、泳ぐことも出来るしね」
その海の中で、です。
「怖くはないよ」
「そうだね」
「身体の中もね」
外だけでなく、というのです。
「ちゃんとしているからね」
「だから大丈夫だね」
「海もね」
それが今の木樵なのです。
「勿論斧もね」
「そうですね、ブリキの身体ですと」
どうしてもとです、神宝が言いました。
「普通は塩水は駄目ですね」
「特にね」
「そうですよね」
「だから僕もね」
「そこをちゃんとしたんですね」
「そうなんだ」
実際にというのです。
「オズの国は今や大陸全体に及んでいてね」
「海にも行くことがあるから」
「そうしたんだ、だから僕も人魚の国に行けるよ」
海の中にあるその国にです。
「笑顔でね」
「それは何よりですね、それじゃあ皆でね」
「行こうね」
「僕も海は怖くないよ」
ジャックもそうでした。
「カボチャの頭は自由に交換出来るしね」
「何時でも出せるわよ」
ジュリアがジャックに応えました。
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