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ゆきおがあたいにチューしてくれない
いつか……
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 ゆきおの右手も、私の手をキュッと握った。その力は弱いけれど、私は、ゆきおのその優しい手が好きだ。ほっぺたもまだちょっと赤いけど、そんなゆきおも、かわいくて素敵で、そして大好きだ。

 手をつないだまま、私とゆきおは肩を並べ、寄り添って座る。私はゆきおの右側だ。ゆきおの右手を、私は左手でギュッと握る。

 目の前に広がるのは、どこまでも続く大海原で、隣りにいるのは、大好きなゆきお。

「涼風?」
「ん? どした?」
「へへ……なんか……すごく上機嫌だね」
「えへへ……ゆきおだって」
「そお?」
「うん」

 ……なんだ。別にチューしなくても……こうやって手を握って、一緒に海を眺めるだけで、こんなに楽しいじゃないか。こんなに胸がワクワクするじゃないか。

「えへへ……」
「んー?」
「へへ……ゆきおっ」
「ふふ……すずかぜっ」

 自然とぴったりとくっついて、顔を寄せる。胸が暖かい。二人のおでこがコツンとあたる。自然と顔がほころぶ私達。二人で海を眺めながら、お互い顔を見つめて、笑い合っているだけなのに、それがとても楽しくて幸せだ。二人で豆大福を食べた時みたいに、とっても幸せだ。

「ねえ涼風?」
「ん? どした?」
「おでこにチューしたのって……ホントに……」
「おでこにちゅーしたくなったから」

 私の答えを聞いたゆきおはちょっと戸惑ったみたいだけど、私はとても自然に答えられた。お昼はあんなにぎこちなくて、さっきまではあんなに大笑いしてたのに……今は、自然とポンポン言葉が出てくる。ゆきおの声をもっと聞きたいし、ゆきおに私の言葉をもっと聞いて欲しい。

「イヤだったか?」
「んーん。イヤじゃないけど……ちょっと、びっくりしちゃって」
「そっか。よかった!」

 ゆきおのほっぺたが、また赤くなってきた。昨日のことを思い出して、恥ずかしくなってきたのかな? 私は……昨日のことを思い出すと、恥ずかしさよりも、ドキドキの方が先に来るけれど……もっともっと、ゆきおとワクワクしたいと思うけれど。……なんて思ってたら。

「昨日は、逃げちゃってごめんね」

 そういって、ゆきおはちょっと申し訳無さそうに俯いた。気のせいか、視線も少しだけ俯いてて、ちょっと元気がないようにも見える。

 ゆきおはとっても優しい。昨日だって、ああやって内股で私の前から走り去っていった後、『しまった』って、一人で落ち込んでたのかもしれない。そらぁそのあと比叡さんの本を読んで泥沼化したのかもしれないけれど。

 ゆきおの優しさは私も大好きだ。私がゆきおのことが大好きな理由の一つが、この優しさだ。いつも相手のことを気遣ってくれる。

 でもゆきお。昨日みたいなときにまで、落ち込んでしょんぼりしなくたっていいんだぜ。改
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