第6部 贖罪の炎宝石
第5章 人外の力
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いたのである。
誰かが破ったことは明白であった。
これでは誰が小隊長だったのかわからない。
一番罪深い男のページが見当たらない。
アニエスは身を震わせた。
アルビオンの首都ロンディニウムから馬で二日の距離にあるロサイスの街に、危険な雰囲気をまとった集団が現れた。
その男たちは、ロサイスの街の外れに向かっていた。
これまた別の、ある集団との合流のためである。
男たちの目に、一隻のフリゲートが入る。
甲板には一人の男と一人の女が男たちの到着を待っていた。
ワルドとフーケである。
「約束から十五分過ぎたよ。ったく、時間も守れないような奴に、針の穴を通すような緻密な作戦が行えるのかね。占領任務だ。面倒な仕事だよ」
「『白炎』メンヌヴィルといえば、傭兵の世界じゃ知られた男だ。残虐で狡猾……。それだけに有能との噂だ……それに……」
「……それに?」
フーケはワルドの思わせぶりな態度を怪訝に思った。
「ここ数年、どうやら奇妙な力を行使しているそうだ」
「奇妙な力?なんだい、そりゃ」
「私も少し知っているだけで、詳しくははわからん。だが、並みのメイジでは全く歯が立たないほどの力らしい。魔法とはまた違う、強大な力だそうだ」
「はっ!なんだい、その胡散臭い話は」
フーケは『ばかばかしい』といった態度でワルドの話をはねのけた。
「なんにせよ遅刻はいただけないね」
そんな話をしていると、メンヌヴィルたちが到着したのが見えた。
甲板からタラップが下ろされる。
艦に上ってきたメンヌヴィル達には、なんとも言えない雰囲気が漂っていた。
生きた心地のしない、嫌な感触である。
それは、到底、普通の人間が発することのできない奇怪なものであった。
いや、もはや人間ではない、といったほうが正しいのかもしれない。
「あんたら……いや、あんた人間かい?」
ここでフーケはあることに気づく。
その奇怪な雰囲気を纏っているのは、前に立つメンヌヴィル一人のものであることを。
集団の奇怪さと錯覚するほどの異様な雰囲気。
「ああ、人間のつもりだ…まだな」
と、メンヌヴィルは淡々と答えた。
フーケは身体が震えるのを感じた。
軍議のために用意された部屋で、一同は今回の作戦を打つ合わせた。
作戦目的は、魔法学院の占領である。
クロムウェルは生徒を人質に取り、攻めてきた連合軍に対する政治のカードの一枚とする心づもりなのであった。
夜陰に乗じてトリステインの哨戒線をくぐり、直接魔法学院をつく。
「子どもとはいえ、メイジの巣だよ?この数で大丈夫なの?」
いつか巨大ゴーレムで
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