第6部 贖罪の炎宝石
第5章 人外の力
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すね…。これからは自粛します…」
ウルキオラは「そうか」といってシエスタの居室を後にした。
しかし、少し進んだところで、何か思い出したかのようにウルキオラは足を止めた。
「どうかしましたか?」
急に歩みを止めたウルキオラにシエスタは疑問を持った。
「いや、なに…俺の世界の人間どものある言葉が頭をよぎってな。それが今のお前に伝えるにはぴったりだと思ってな」
「言葉…ですか?」
シエスタはますますわからないといった様子であった。
「ああ」
ウルキオラはシエスタの方へと振り返り、微笑したかと思うと、静かに口を開いた。
「酒は飲んでも呑まれるな」
アルビオンとの戦争はすでに止まることのない事態にまで発展していた。
トリステインとアルビオンはいつ戦争が起こってもおかしくない状況下であった。
そのため、魔法学院に募兵官がやってきた。
もちろん、戦争に参加する学生を招集するためである。
魔法学院長であるオールド・オスマンは、学生を戦争へと駆り立てることをひどく反対したが、国の置かれている圧倒的不利な状況などを加味し、拒むことができなかった。
募兵官に王軍への申し込みを行った生徒たちは、それぞれ即席の士官教育を二か月ほど受け、各軍に配属された。
トリステインの軍隊は大きく分けて三つあった。
まず、時の王を直接の最高司令長官とする『王軍』である。
王政府所属の貴族の将軍や士官たちが、金で集められた傭兵の隊を指揮するのであった。
次に、各地の大貴族たちが、領地の民を徴兵して編成する、『国軍』または『諸侯軍』と呼ばれる組織である。
王から領地を賜った貴族は盟約に従い軍を組織する。
ルイズの父、ラ・ヴァリエール公爵が枢機卿に編成を依頼されたのもこのためであった。
その兵はもともと農民のため、国軍は傭兵で編成された王軍に錬度で劣った。
おおよそ遠征に向く軍組織ではないが、王軍のみでは頭数が足りぬため、連れていくことになった。
ルイズの父、ラ・ヴァリエール公爵のように戦に反対して兵の搬出を拒んだ貴族も多数いた。
なお、今回は遠征であるため、国軍の半数は輜重…、つまりは補給部隊として動くこととなった。
最後に空海軍である。
空や海に浮かんだ軍艦を動かす部隊である。
艦長を頂点とする、まさに封建制の縮図ともいえる軍組織であった。
艦の中での絶対権力者、艦長の下に、貴族士官が乗り込み、多数の水兵を指揮する。
水兵といえど、フネを動かすためのみんな何らかの専門家であった。
陸軍とは違い、頭数をそろえればよい、という性格の軍ではないため、経験と日ごろの訓練が何より重視された。
つまり、貴族
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