第6部 贖罪の炎宝石
第5章 人外の力
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ヴァリエール公爵の屋敷…外観的にはもはや城のレベルであるが、その屋敷からはヴァリエール公爵領を見渡すことのできる大きな窓がいたるところに設置されている。
そんな窓からは、もちろんウルキオラとカリーヌの決闘が行われた庭園も見ることができる。
そこは、ほんの数時間前にまるで自然災害のような決闘が行われたとは、思えないような静けさがあった。
決闘の件は、ヴァリエール公爵の屋敷に仕えるメイドや執事の間でもちきりの話題となっていた。
もちろん、裏でひそひそと話す程度であったが、「カリーヌ様は次元が違う」、「恐ろしい」、「予想以上」という会話が飛び交ったそうだが、一番は、「カリーヌ様が負けた」、「ルイズ様のお仕えの白い男は何者だ?」という内容のモノであった。
そのせいもあってか、皆ウルキオラを避けているように見えた。
まあ、無理もないが…。
さて、そんな会話がなされているとはつゆ知らず、ウルキオラはある場所へと向かっていた。
シエスタの居室である。
あれだけべろんべろんに酔っぱらっていたので、少し様子が気になったのだ。
シエスタを送り届けた日のことを思い出しながら、屋敷の廊下を歩いていく。
ウルキオラは見覚えのある扉の前で足を止めると、その扉を二回ほど叩いた。
すると、がたがたっ!と物音がした後、聞き慣れた声が扉の向こう側から聞こえた。
「ど、どなたですか?」
どうやら随分とびっくりしている様子であった。
「俺だ」
ウルキオラの声を聴いたシエスタは、足早に扉へと近づいた。
きぃー、という音と共に、扉が開いた。
「ウ、ウルキオラさん?」
「酔いはさめたか?シエスタ」
シエスタは申し訳なさそうに俯きながら口を開いた。
「はい…お陰様で…」
「そうか…」
ウルキオラは、そんなシエスタの様子を気にも留めない様子で答えた。
「あの、申し訳ありません。ウルキオラさん」
「何がだ?」
「私、酔ってなにか失礼なことをしてしまったようで……」
シエスタは激しく恐縮していた。
「まあ、そうだな」
ウルキオラは当時のシエスタの行動を思い返し、嘘偽りなく言葉を返した。
「く、癖なんです。お酒飲むと、わたし、その、いつもと違う行動をする傾向があるようでして、はい」
「そうだな、いつも通りではなかったな」
ウルキオラのいつもと変わらぬ口調に、シエスタはなんともいえぬ気持になる。
「あの、本当に申し訳ありませんでした…」
シエスタは頭を垂れた。
「気にするな。だが、酒は少し控えた方がいいかもな」
ウルキオラは申し訳なさそうに謝罪するシエスタに、アドバイスをして見せた。
「そ、そうで
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