716部分:第五十七話 豪傑達、荘に戻るのことその六
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第五十七話 豪傑達、荘に戻るのことその六
「そうしたことは」
「何かあるんですか?それが」
「ああ、いいです」
わからないことがわかってだ。話を打ち切った馬岱だった。
「まあこいつはとにかく桃香さんのお傍にいたがるんで」
「主を御護りするのは当然のことだ」
「お風呂を一緒に入るのも?」
「その時が一番危険だからだ」
もっともな理由であった。
「だから私はだ」
「全く。そこまで想ってるのなら」
それがわかっている馬岱だった。
「さっさと一線越えたらいいのに」
「だから私はだ。あくまでだ」
「桃香さんの家臣だっていうのね」
「そうだ、それはだ」
「肝心なところで逃げ腰なんだから」
魏延のそうした性格を実によく把握している馬岱だった。
「そんなのじゃ何時までも同じだよ」
「貴様、一体私を何だと思っているんだ」
「皆気付いてるから」
しかし馬岱は容赦がない。
「本当に誰もがね」
「だから何に気付いているんだ」
「言うまでもないでしょ」
「くっ、何故ここまで言われるのだ」
「ばればれだからよ」
馬岱の方が二枚も三枚も上手であった。そんな状況だった。
しかしそんな中でだ。宴は楽しく進んでいた。そしてである。
張飛はだ。こんなことを言った。肉を食べながら。
「そういえばなのだ」
「そういえば?」
「どうしたんだよ、急に」
関羽と馬超が彼女に問う。
「何かに気付いたのか?」
「だとしたら何だよ」
「最近何だかんだで落ち着いてきているのだ」
張飛はこう言うのだった。
「天下は乱れていると思ったら案外そうでもないのだ」
「地方はそうですね」
「確かに」
それにだ。軍師二人も言う。
「都はともかくとして」
「各州は」
「そうなのだ。それはいいことなのだ」
「ただ。注意して下さいね」
「肝心の都が危ないですから」
孔明と鳳統は少し厳しい顔になってそのことを指摘する。
「ですから決してです」
「油断できません」
「うう、じゃああれなのだ?」
張飛は難しい顔になって述べた。
「この穏やかさも何時どうなるか」
「はい、残念ですが」
「その通りです」
やはりこう話す孔明と鳳統だった。
「都が安定しない限りは」
「本当にどうなるか」
こう話すのであった。そんな状況なのだ。
しかし今はであった。幽州も穏やかである。平穏の中にあった。
桃家荘に戻ってから一週間が経った。その間劉備はだ。
のどかにその日々を過ごしていた。桃の木々の中で呑気にお茶やお菓子を食べながらだ。
「ううん、何かこのまま」
「このままとは?」
「どうかしたのだ?」
「平和に時間が過ぎたらいいなあって」
劉備もまたこんなことを言うのだった。
「そう思う
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