第二十七夜「カラスの宝物」
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く怖い…。見れば片目は潰れていて、身体中傷だらけだ。人間で例えるならば…百戦錬磨の老兵と言ったところか…。
- す…すいません!僕…お腹空いてて…飛んでてここを見付けたから…。 -
- だから…?だから勝手に入ってきたってか? -
片目でもその眼力は強く…もう少しで失禁しそうになっていた。
- も…もう来ません!ごめんなさい! -
そう言って飛び去ろうとするも…片目のカラスは先回りして行く手を遮り、その大きな嘴で突いてきた。
- 痛っ!! -
- てめぇ…ただで帰れると思ってんのか? -
怖い…むっちゃ怖い…。
だが、この状況をどうしたら良いか分からない…。
因って…カラスはとある方法を考えた。
- 僕の…僕の宝物を差し上げますので許して下さいっ! -
- ん?宝物だと? -
- はい!一緒に来てくれたら差し上げます! -
それを聞くや、片目のカラスは取り合えずそのカラスについていくことにした。
然して時間も掛からずに巣へ着くと、カラスは片目のカラスへとネックレスチェーンの切れ端を差し出した…。
- お前…。 -
- ヒィッ! -
ギロッと睨まれ、カラスはまた怒鳴られるのかと震え上がった。また突かれてはたまったものではないが…それがどうだろう…。
- すっげぇ!ホントに良いんかよ! -
気に入ったようだ…。
カラスはほっと胸を撫で下ろした。目の前にいる片目のカラスは、ネックレスチェーンの切れ端に御満悦で…こう言った。
- お前、今度からいつでもあそこに来て良いからな! -
そう言って片目のカラスは、ネックレスチェーンの切れ端を大切にくわえて飛び去ったのだった。
- はぁ…突かれなくて良かった…。 -
宝物を失ったことは正直ガッカリだが、餌場を確保出来たことは何より…怪我の功名と言ったところだ。
そしてカラスは再び飛び立った。
- さて…何かないかなぁ〜。 -
さっきの出来事なぞ既に忘れ、カラスは悠々自適に風を切って飛ぶ。
そうして暫く空から眺めていると…。
- むむっ! -
何かを見付けた。川辺の草むらの中、そこで何かが反射した様な気がしたのだ。
カラスは光が見えた気がした場所へ着地すると、草むらの中をガサゴソと探し始める。
- おお!これ何だ? -
そう思いながらもカラスはそれを嘴にくわえて言う。
- すっげぇの見付けた! -
そのカラスがくわえたもの…それは指輪だった。それもダイヤのついた…。
それは確かに「すっげぇ!」ものだったが、カラスにしてみれば皆同じ「すっげぇ!」ものだ。
カラスは再び飛び上がり、いつも通り指輪を宝物
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