第21話 友と語る、セピア色の懐かしき出会い話
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くてもどの道喧嘩は売るつもりだったのだが。
「忘れないように俺の名を教えてやる。俺は番。轟 番だ!」
「峰 守だよ。君が強くなる日をそれなりに楽しみに待ってるから頑張ってね」
「んの野郎。今度は俺がてめぇを地面に叩きつけてやるから覚悟しておけよぉ!」
一触即発な雰囲気から一転、今度は両者とも腹の底から笑い合った。何とも奇妙な出会いではあったが、この出会いの後、番の生き方が大きく変わったのも事実だったりする。
***
【あの時、お前に会ってなかったら、俺は今でも荒れ狂ってたかも知れねぇなぁ】
(そうだねぇ、ところで・・・あの頃よりは強くなったのかい? 何なら地球に帰った後でまた喧嘩でもするのかい?)
【止めておく。前にお前に化けたイインチョウと戦ったがてんで歯が立たなかった。俺はまだまだ弱いみたいだ。お前にも、そして・・・あのクソ親父よりも】
何処か遠い景色を見つめるような感じに番は呟いた。彼が越えようとしているのは今近くに居る峰だけではない。かつての弱かった自分自身と、家族を捨てて行った父親をも越えるつもりなのだそうだ。
【おい、地球が見えて来たぞ!】
【あぁ、どうやらこの進路で会っていたようだな】
そんな矢先、バンチョウとイインチョウが揃って声を挙げる。後ろを見れば青く輝く地球が四人を出迎えてくれているのが見えた。
歓喜の声を挙げる一方で、番はまた別の不安が過りだした。
【な、なぁ・・・これって、このまま海に落っこちるのか?】
【そうだが、一体どうしたんだ?】
【俺・・・・・・泳げないんだよ】
かすれるような声で言う番。だが、そんな番の想いなど知る筈もなく、ダイバンチョウとウラバンチョウは二体揃って広大な海面へと叩きつけられた。
【はえわこあこあkんbなばへわおうおいわ】
海に叩きつけられた途端器用に溺れ始めるダイバンチョウ。それに対し、ウラバンチョウは飛行能力を有していた為か空を飛んでいる。
【大丈夫か? お前ら】
【げぼぼ、ごぼがぼ・・・だ、だずげでごぼぼぼ】
器用に溺れているダイバンチョウを見てやれやれと言った顔をしつつ、上空から掬い上げるウラバンチョウ。
【だ、だずがっだ】
【番、てめぇが泳げねぇせいで俺まで溺れ掛けちまったじゃねぇか!】
【るっせぇ! 泳げねぇものは泳げねぇんだよ!】
今度はバンチョウと喧嘩し始める番。彼の生きる人生、喧嘩ばかりの人生のようだ。
(やれやれ、こりゃ当分騒がしくなるなぁ)
【これから先が思いやられるんだが】
喧嘩し続ける番とバンチョウを見て笑い続けている守と先行きを不安がるイインチョウ。
因みに、この後無事に帰国出来た番達ではあったが――
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