第21話 友と語る、セピア色の懐かしき出会い話
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ぜ!」
「こ、こんなの・・・ただの暴力じゃないか! 僕達が何をしたって言うんだよ!」
「あぁ? てめぇらが俺の目の前を歩いていたから目障りだったんだよ! だから殴った。それだけだ」
「そ、そんなの・・・ただの、横暴じゃないか!」
「ガタガタ抜かしてんじゃねぇ! やる気がねぇんなら他の奴同様寝てろ!」
震え慄く学生に対し、番の暴力が振り上げられた。この後は同じ展開だ。また、彼らが意識を失い倒れるまで殴り続けるだけ。
そう、また同じ光景が繰り返される。
誰もがそう思っていた―――
「そこまでにしなよ」
唐突にそれを止める者が居た。その声の主は、声を放ったと同時に番の太い腕を掴み、暴力を止めたのだ。
「何だ! てめぇ、喧嘩の横やり入れるんじゃねぇよ!」
「君の言う喧嘩って言うのは、動けない相手を一方的に殴る事を言うのかい?」
「うるせぇ! そんなに文句があるなら、代わりにてめぇが相手しやがれ!」
有無を言わさず、番は声の主に飛び掛かった。
年は番と同じ位、細見のひ弱そうな学生だった。
誰もが、彼が番の暴力でズタズタにされるだろう。そう思っていた。
あべこべに、番が地面に叩きつけられる光景を目の当たりにする前までは。
「ゲッ、ホォッ!!」
「人の話を聞かないからそうなるんだよ。これに懲りたらもう無茶な喧嘩はしない事だね」
「ふ、ふざけんじゃねぇ! 人の事を投げ飛ばしておいて「はい、終わり」なんて通用する訳ねぇだろうが! てめぇだけは許さねぇ、ぶちのめしてやる!!」
完全にブチ切れた番は立ち上がり、投げ飛ばした少年目掛けて猪の如く突進していく。
そして、またしても地面へと叩きつけられる―――
見ている側から見れば何とも不可思議な光景だった。何しろ、180cmはあるであろう大柄な番を投げ飛ばしたのは細見な少年なのだから。
「んの野郎ぉぉっ!!」
「いい加減諦めたらどうだい? 力任せな君のやり方じゃ僕には通用しない」
「舐めた口利いてんじゃねぇよ! ただ投げ飛ばしただけで俺に勝てると決めつけるんじゃねぇ! 喧嘩ってのはなぁ、最後まで立ってた奴が勝つんだよ!」
どれだけ投げ飛ばされても、どれだけ地面に叩きつけられても、番は諦めなかった。
何度も何度も立ち上がり、何度も何度も地面に叩きつけられた。
「こんっっちくしょぉおぉぉっぉおぉぉ!!!」
「・・・・・・」
一体どれだけ地面に叩きつけられただろうか?
既に番自身は体力も底を尽き、気力だけで立っている状態だった。それに対し、少年の方は息一つ乱れていない。
実力の差があり過ぎていた。
「まだやるのかい? これ以上やったら、怪我じゃ済まなくなるよ」
「まだ・・・・・・まだぁ・・・
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