第21話 友と語る、セピア色の懐かしき出会い話
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る父と祖父を家族に持ち、貧乏ながらも番は不自由さを感じる事もなく健やかに成長を続けていた。
「喜べ、番。近くの河原ででかい蛙を拾ったぞ。これで今日の晩飯は蛙のから揚げだな」
「すっげぇ、美味そうな蛙じゃん!」
仕事から帰って来た父が番に見せたのは巨大な大人のウシガエルだった。大人でも両手で持たないと持てないほどの大きなウシガエルを前に、幼い番は目をキラキラと輝かせていた。
「はっはっはっ、なんだ心。お前もおかずを取って来たのか?」
「父さん」
「爺ちゃん!!」
「しかも蛙かぁ。こりゃ今夜の晩飯が楽しみじゃのぉ。ほれ、わしも良い物を拾って来たぞぃ」
祖父が拾って来たのは丸々に太ったネズミだった。それも1匹ではなく大量に捕まえて袋詰めにしてあるのだ。
「すげぇっ! こんなにたくさんネズミ捕まえたのかよ爺ちゃん。しかもどれも丸々太ってて超美味そうだぁ」
「当たり前じゃろうが。わしらは昔からこうして生活しとったんじゃ。食材集めなんぞ朝飯前じゃい」
玄関先で男達が食材を手に大笑いをしていた。
「あら、お帰りなさい。心君にお父さん」
「おう、ただいま」
「めぐみさんやぁ。今夜の晩飯は蛙とネズミを使ってくれやぁ」
「あらあらまぁ、大量ですねぇ。今夜は腕を振るって美味しいご飯作るわね」
「やっほぉい! 楽しみだなぁ」
其処にあったのは、少し特殊ではあっただろうが、それでも極々普通な平凡な家族の風景が其処にあった。
幼い番と、それの成長を見守る祖父と父と母。
それらが轟家の生活風景でもあった。
「馬鹿野郎!!」
場面は変わり、夕刻時の一時。
ボロボロになって帰って来た番を父、心は思い切り殴り飛ばした。
「いって〜」
「お前、自分が何をしたのか分かってるのか?」
「何って・・・普通に喧嘩しただけだよ」
「別に喧嘩した事を責めてる訳じゃない。負けた事でも怒っちゃいない。だが、その後お前は何をした? 喧嘩で負けた後、その負かした相手を後ろからバットで殴り倒しただろうが!」
「だってさぁ、あいつら卑怯なんだぜ。俺一人なのにあいつら5人で来たんだ! それじゃあぁしなきゃ俺勝てないよ」
「自分が弱いのを相手のせいにするな! 良いか、お前も俺の息子なら二度と卑怯な勝ち方をするな! 男なら正面から戦え! そして、どんなに不利な状況でも必ず勝てるように男を磨け! 分かったな?」
「う、うん―――」
父が怒っているのは喧嘩で負けた事でも喧嘩をした事でもない。卑怯な喧嘩をした事を怒っているのだ。
例え、自分に不利な喧嘩だとしても、それらを跳ね除けて喧嘩に勝つ。これこそ男の喧嘩と言えるのだ。
それを聞いた時、番は自分があんな喧嘩をした事を心の底から後悔した。そして、も
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