第七章
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「ですね。時々優勝するだけです」
「そのうちその時々もなくなるかもな」
老人はこうも言った。
「邪道は力にはならんからのう」
「その通りですね、本当に」
「それでええ。巨人は優勝したらあかんのじゃ」
老人は心正しき日本国民の心の言葉を代弁してくれた。
「黄金時代なんか願い下げじゃ」
「全くですね。邪道が蔓延ったら終わりですからね」
「巨人が若し」
老人はこうも言った。
「ドラフトと育成にまともに力を入れたらのう」
「小細工ではなく正道でいけばですね」
「違うと思うがのう」
「願わくばそれに気付かず金もなくなってですね」
「無様に衰退すべきじゃ」
「ええ、全くですよ」
「巨人に見事な勝ちは似合わん」
老人は席を立つ前に僕に言ってくれた。
「巨人には無様な負けがよく似合う」
「ええ、全くですよ」
僕は微笑んで老人のその言葉に頷いた。全く以てその通りだと思った。
巨人ナインはすごすごと引き揚げていく。何時見てもいい光景だ。この光景をこれからもずっと観ていきたい、僕は甲子園を去る前にこう思った。
小細工 完
2012・6・28
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