第六章
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一球目、二球目は見送りだった。今日の藤川はいつも以上に凄いがそれ以上に村田は完全に動きが竦んでいた。まるで置物だった。
あっという間にツーストライクまで追い込まれ三塁側からも罵倒が来た。
「御前打てよ!」
「何の為に巨人に来たんだ!」
「守備も悪いしチャンスにも弱い!」
「金盗りに来ただけか!」
巨人ファンは冷たい人間が多いという。選手の調子が少し悪いと容赦なく切り捨て冷たい言葉を投げ掛ける。勝つことが当然と思っているが故の傲慢か。
その彼等の罵倒を受けて余計にだった。村田は身体が強張った。彼は今巨人と巨人ファンがどういった体質か肌で感じているだろうか。
その冷たい声を受けながら三球目を迎える。藤川がまた投げる。
その三球目に村田は何とかバットを振った。しかし振っただけだった。
思いきり空振りをしてそのまま倒れ込む。実に無様な幕切れだった。
阪神ファンの勝利に沸き立つ声と巨人ファンの嘆きが交錯する。実にいい瞬間だ。
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