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レインボークラウン
第四百六十五話

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              第四百六十五話  夏バテ知らず
 小田切君が素麺の後片付けをしてからだ、暫くくつろいでいると博士が戻ってきて彼にこんなことを言った。
「いい具合に喰った様じゃな」
「わかりました?」
「顔に出ておるわ」
 食べて満足している様子がというのだ。
「素麺でもじゃな」
「はい、ただ食べるだけじゃなくて」
 小田切君も博士に答えて話す。
「サラダに入れて食べました」
「サラダ素麺か」
「素麺サラダでしょうか」
「それだけ野菜が多かったか」
「はい、ドレッシングもかけまして」
 博士にどうして食べたかも話す。
「それで食べました」
「よいことじゃ、素麺だけだとな」
「栄養が偏りますよね」
「だから夏バテにはあまりよくないのじゃ」
 素麺ばかり食べていると、というのだ。
「そうなのじゃよ」
「それで、ですか」
「野菜と一緒に食べるとな」
「いいんですね」
「野菜も食わぬとな、わしも肉が好きじゃが」
 それでもというのだ。
「いつもしっかりと野菜も食っておるな」
「果物もですよね」
「食いものは栄養よくたっぷりとじゃ」
 摂るべきだというのだ。
「さもないと身体によくない」
「そういうことですね」
「君の食べ方はよい」
「あと冷奴も食べました」
「尚よい、蛋白質も摂らなくてはな」 
 それが動物性でも植物性でもというのだ。
「よくはない」
「そこもバランスよくですね」
「その通りじゃ、では午後はな」
 博士は午後に何をするのかも話した。
「錬金術の研究じゃ」
「そちらですか」
「そしてまた新しいものを造るぞ」
「金を出して終わりじゃないんですね」
 名前にある通り錬金術の目的はそれである、あらゆるものを黄金に変える賢者の意思を生み出して無限の富を得ることだ。
「前から博士を見て思ってましたけど」
「錬金術に終わりはないぞ」
 博士は小田切君に答えた。
「果てしなく様々なことを成し遂げていく」
「そういうものなんですね」
 小田切君もわかった、錬金術は金を生み出してそれで満足するものではないということを。


第四百六十五話   完


                     2017・7・26
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